【1月13日 AFP】アフリカのインド洋沖に浮かぶ島国マダガスカルではここ最近、人骨を狙った墓荒らしが横行しており、ここ1か月足らずの間に5人が逮捕されている。

 同国本島の北方沖に浮かぶ小島、ベ島(Nosy Be)では1週間前、6キログラムの人骨を持っていたマダガスカル人3人が逮捕された。地元警察によると、容疑者らは「白人の外国人が人骨を買い取るという話を聞いた」と供述したが、この人物と実際に会ったことはなく、名前も知らないと話している。

 また、同国西部の町、ベサランピ(Besalampy)でも3週間前、人骨を盗んだ疑いで男2人が逮捕された。警察当局の話では、うち1人は大腿(だいたい)骨9本が入った袋を持っていたという。

 押収された人骨には、北西沖の島々にある囚人墓地や共同墓地から盗み出されたものが含まれていた。共同墓地では以前、遺体6体が何者かに盗み出されている。

 同国では近年、墓荒らしが増加しているが、人骨の所持で逮捕者が出たのはこの件が初めて。捜査当局は、依然として人骨の運ばれる先や、売却先を突き止められていない。

 マダガスカルは現地名で「祖先の土地」を意味する「tanindrazana」と呼ばれており、死者の遺体は神聖なものとされている。石やコンクリートでできた墓は豪華な装飾が施され、人々が住む木製の家とは対照的だ。

 だが、墓地は村から遠く離れた場所にあるため、墓荒らしに狙われやすい。

 マダガスカルの慣習では亡くなった人の遺体は数年後に掘り起こされ、祝福が継続されるよう、お金をかけた儀式が行われる。(c)AFP