【11月14日 AFP】スリランカで数十年間におよんだ内戦の末期に、国連(UN)は民間人の保護責任を果たしていなかったと結論付けた国連の内部調査委員会による報告書草案の内容が13日、英国放送協会(BBC)によって明らかにされた。

 スリランカ政府と少数派民族タミル人の反政府武装勢力、「タミル・イーラム解放のトラ(Liberation Tigers of Tamil EelamLTTE)」の間で激しい戦闘が繰り広げられたスリランカ内戦は、2009年5月に終結。国連の推計によれば、この内戦による犠牲者は10万人に上り、政府とLTTEの双方が戦争犯罪に問われている。

 BBCが入手した内部報告書の草案は、「スリランカの件は、国連の重大な過ちの記録ととなった」と指摘。「民間人保護および人道責任において国連は、より高い水準を満たさねばならない」と厳しく述べている。

 さらに、内戦末期にスリランカの最大都市コロンボ(Colombo)に駐在していた国連上級職員らが、民間人の殺害阻止を自らの責任と認識していなかったうえ、国連本部もスリランカ事務所にこれを指示していなかったと厳しく批判。同国駐在の国連職員の安全を保証できないとのスリランカ政府からの警告を受けて、2008年9月に同国の戦闘地帯から職員を退避させた国連の決断にも疑問を呈した。

 また、死亡した市民の「大多数」は政府の砲撃によって命を落とした事実を公表しなかったと国連を批判した。一方、スリランカ政府は、そうした事実はないと繰り返し否定している。

 米ニューヨーク(New York)国連本部でのスリランカ内戦への対応報告についても、報告書は「加盟各国が知るべきことではなく、聞きたがっていると推察されることしか伝えなかった」と指摘した。

 BBCが国連幹部筋の話として伝えたところによると、潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、スリランカ内戦への対応を教訓としてシリア内戦などの新たな国際危機により効果的に対処すべく、報告書の提言を受け入れて行動することを固く決意しているという。

 一方、国連はBBCに対し、最終的な報告書が発表される予定であり、リークされた草案の内容についてはコメントしないと語ったという。(c)AFP