【8月3日 AFP】ロンドン五輪の競泳では、現地1日までに5つの世界新記録が樹立されたが、世界記録が25回更新された2008年の北京五輪と比べれば物足りない結果と言えるかもしれない。

 しかし、選手たちは北京五輪後に禁止となったボディスーツ型の高速水着なしでも記録が出ていることから、競泳の進歩は止まっていないとの見解を示している。

 高速水着禁止後の2010年にデビューを果たした米国のミッシー・フランクリン(Missy Franklin)は、「競泳は辛抱強く続ける競技だから、境界線を押し上げて自分たちの限界を高めることができる。ロンドン五輪で『高速水着はいらない』と世界に証明できたことは素晴らしいと思う」と語った。

 英水着メーカーのスピード(SPEEDO)社が開発した水着「レーザー・レーサー(LZR Racer)」に始まり、その後さまざまな形で登場したポリウレタン素材の高速水着を選手たちが着用したことで、北京五輪後にイタリアのローマ(Rome)で行われた第13回世界水泳選手権(13th World Swimming Championships)では43の世界記録が誕生した。

 浮力があり筋肉に圧力のかかる高速水着が有利に働いた選手によってこれらの記録が生み出されたため、一部の人たちは世界記録は当分更新されることはないだろうと予測していた。

 しかし競泳米国代表のチーム・ディレクターを務めるフランク・ブッシュ(Frank Busch)氏は、そのような悲観的な意見が選手たちの速く泳ぎたいという強い意欲を無視していると指摘した。

 ブッシュ氏は「記録のハードルが上がった時、選手を絶対に軽視してはならない。そしてコーチ陣も過小評価してはいけない」と語った。

 さらにブッシュ氏は、「確かにハードルは上がった。でもそれで選手とコーチは次のステップを見据えるようになった」と話しており、記録更新という目標が選手たちの意欲を高め、高速水着の登場はむしろ「幸運」だと思えるようになってきたと語っている。