【5月28日 AFP】韓国の首都ソウル(Seoul)で24日、総工費2億5600万ドル(約204億円)で建設中の新市庁舎の外観が初めて全貌を現した。しかしガラス張りで13階建ての新庁舎が、日本統治時代の1926年に建てられた現庁舎に砕ける波のような形でせり出しているデザインが論議を呼んでいる。

 新庁舎は3年前から建設工事が進められ、24日の週に足場や柵が撤去された。歴史的建造物の一部を残そうとする努力が見られるものの、建築家やそばを通り過ぎる人々の間からは冷めた反応も出ている。

 建築家のペク・ミンソク(Baek Min-Seok)氏はAFPに対し、「新旧の建物の調和がほとんどない」とコメント。「新しい建物の隣に古い建物があるのは目障りだが、単に景観上の理由で歴史ある建造物を撤去するわけにはいかない。これはソウルのジレンマだ」と語った。

 同氏はまた、公的な建築指針ではエネルギー効率への配慮から、建物のガラス張りの部分が外壁全体の半分未満と規定されているものの、新庁舎はこれと矛盾すると指摘した。新庁舎の外壁には7000枚のガラス製パネルが使用されている。

 会社員のユン・ソヒョン(Yoon Seo-Hyun)さん(24)は、新旧の建物が接近しすぎていると語った上で、「(新庁舎は)従来型の外観の建物にするべきだった。風景に溶け込んでいない」と批判した。

 一方、教育コンサルタントのキム・ダウン(Kim Da-Eun)さん(24)は、「ソウルの空にマッチしているし、ソウルの国際的イメージに合っていると思う」と新庁舎を称賛した。

 同市インフラ担当幹部のイ・ギルソン(Lee Gil-Sung)氏はAFPに対し、エネルギー効率の高さが特長だとして新庁舎を擁護した上で、「デザインについて決まった答えはない。人によって意見はさまざまだ」とコメントし、建設当時に批判を浴びたものの、現在はフランスのシンボルとして観光名所になっているパリのエッフェル塔に言及した。

 新庁舎は早ければ今年9月にオープンする。(c)AFP/Park Chan-Kyong