世界初の交配種サメ、豪州沖で見つかる
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【1月4日 AFP】オーストラリアの研究チームは3日、世界で初めて交配種のサメをオーストラリア近海で発見したと発表した。サメが気候変動への適応を試みていることを示す兆候かもしれない。
発見されたのは、地元のオーストラリアン・ブラックチップ・シャーク(Australian Blacktip Shark)と、世界各地に生息する類似のブラックチップ・シャーク(Blacktip Shark、カマストガリザメ)との交配種。サメの種全体に影響を及ぼす初めての発見だと、研究主任のジェス・モーガン(Jess Morgan)氏は語る。
「非常に驚いている。想定外だ」と、豪クイーンズランド大学(University of Queensland)のモーガン氏は、AFPに語った。「進化は今起きているのだ」
研究に参加した豪ジェームズクック大(James Cook University)のコリン・シンプフェンドルファー(Colin Simpfendorfer)氏によると、研究では57の検体で複数の世代が確認されており、この交配種に比較的強い生存能力があることが示唆されている。
交配種はオーストラリア東岸沖での分類作業中に見つかった。モーガン氏によると、遺伝子検査で、外見は既存種に見える一部のサメが別の種であったことが判明した。
オーストラリアン・ブラックチップは、通常のブラックチップよりやや小型で、熱帯海域でしか生息できない。だが、交配種の子孫は、水温の低い2000キロ沖で発見された。
つまり、オーストラリアン・ブラックチップは、気候変動により海水温度が変化する中で、生存を確保するために適応している可能性がある。
「通常のブラックチップと交配すれば、オーストラリアン・ブラックチップは効果的に生息域をさらに南の水温の低い海域に移動させることができる。つまり、この交配の利点は、生息域の拡大だ」とモーガン氏。「熱帯に限定された種が、温帯の海域に移動できるようになった」
研究チームは、気候変動や漁業がこの交配種をもたらす引き金となったのかを調査している。また、太古に起きた交配種の誕生が今になってようやく発見されただけなのか、あるいは最近起きた現象なのかについても、遺伝子マッピングをさらに続けて分析している。
■純血種は駆逐されるか
シンプフェンドルファー氏は、交配種が親の種よりも強い、つまり適者生存であることが確認されれば、いずれは祖先の純血種を駆逐することになるだろうと述べる。
この交配種の個体数は極めて多く、ある海域ではブラックチップの20%を占めていたほどだ。だが、モーガン氏によると、純血種の祖先を犠牲にしてまで繁殖しているようには見えないところが謎だという。
シンプフェンドルファー氏は、Conservation Genetics誌に掲載された今回の研究が、サメの進化についての従来の考えを一新する可能性もあると語る。
「われわれは、サメの種を分岐させるメカニズムを十分には理解できていないかもしれない。実際には、この2つの種以外でも、同様のことが起きているかもしれない」と、シンプフェンドルファー氏は語った。(c)AFP/Amy Coopes
発見されたのは、地元のオーストラリアン・ブラックチップ・シャーク(Australian Blacktip Shark)と、世界各地に生息する類似のブラックチップ・シャーク(Blacktip Shark、カマストガリザメ)との交配種。サメの種全体に影響を及ぼす初めての発見だと、研究主任のジェス・モーガン(Jess Morgan)氏は語る。
「非常に驚いている。想定外だ」と、豪クイーンズランド大学(University of Queensland)のモーガン氏は、AFPに語った。「進化は今起きているのだ」
研究に参加した豪ジェームズクック大(James Cook University)のコリン・シンプフェンドルファー(Colin Simpfendorfer)氏によると、研究では57の検体で複数の世代が確認されており、この交配種に比較的強い生存能力があることが示唆されている。
交配種はオーストラリア東岸沖での分類作業中に見つかった。モーガン氏によると、遺伝子検査で、外見は既存種に見える一部のサメが別の種であったことが判明した。
オーストラリアン・ブラックチップは、通常のブラックチップよりやや小型で、熱帯海域でしか生息できない。だが、交配種の子孫は、水温の低い2000キロ沖で発見された。
つまり、オーストラリアン・ブラックチップは、気候変動により海水温度が変化する中で、生存を確保するために適応している可能性がある。
「通常のブラックチップと交配すれば、オーストラリアン・ブラックチップは効果的に生息域をさらに南の水温の低い海域に移動させることができる。つまり、この交配の利点は、生息域の拡大だ」とモーガン氏。「熱帯に限定された種が、温帯の海域に移動できるようになった」
研究チームは、気候変動や漁業がこの交配種をもたらす引き金となったのかを調査している。また、太古に起きた交配種の誕生が今になってようやく発見されただけなのか、あるいは最近起きた現象なのかについても、遺伝子マッピングをさらに続けて分析している。
■純血種は駆逐されるか
シンプフェンドルファー氏は、交配種が親の種よりも強い、つまり適者生存であることが確認されれば、いずれは祖先の純血種を駆逐することになるだろうと述べる。
この交配種の個体数は極めて多く、ある海域ではブラックチップの20%を占めていたほどだ。だが、モーガン氏によると、純血種の祖先を犠牲にしてまで繁殖しているようには見えないところが謎だという。
シンプフェンドルファー氏は、Conservation Genetics誌に掲載された今回の研究が、サメの進化についての従来の考えを一新する可能性もあると語る。
「われわれは、サメの種を分岐させるメカニズムを十分には理解できていないかもしれない。実際には、この2つの種以外でも、同様のことが起きているかもしれない」と、シンプフェンドルファー氏は語った。(c)AFP/Amy Coopes