【7月27日 AFP】米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は25日、国境を越えた犯罪組織の財源を断ち、金融システムを保護する目的で、こうした組織を経済制裁の対象とする項目などを含む大統領令に署名した。

 対象となる犯罪組織には、イタリア・ナポリ(Naples)を拠点とするマフィア「カモッラ(Camorra)」、メキシコの麻薬密輸組織「セタス(Zetas)」、旧ソ連圏を拠点とする「ブラザーズ・サークル(Brothers' Circle)」とともに、日本の暴力団も「YAKUZA」の名前で指定された。

 56項目の実行リストには、指定された国際犯罪組織が米国内に保有する全資産の凍結や、米国民がこれらの組織と商取引を行うことの禁止などが含まれている。

 オバマ大統領は議会に当てた書面の中で、「もはや組織犯罪は地域問題ではなく、国際的な安定を脅かす脅威だ」と指摘し、「中でも主要な国際犯罪組織は巧妙さを増しており、米国にとっても危険な存在となりつつある。彼らの活動の広がり方や重みは、国際的な制度を不安定化させるまでに至っている」との懸念を示した。

 さらにオバマ大統領は、国際犯罪組織はグローバル化を利用して世界中に活動範囲を拡げ、政府組織や国際金融システムとのつながりを深めていると警告した。

 同様に、ジョン・ブレナン(John Brennan)大統領補佐官(テロ対策担当)も記者会見で、「国境を越えた犯罪組織は世界経済にとっての脅威だ」との見解を示し、「巧妙さとビジネス力を高めた犯罪組織は市場進出の手腕を得て、合法的な市場競争や市場の一体化を阻害し、金融システムや合法的な競争をゆがめている」と指摘した。

 また、ブレナン補佐官は、国際犯罪組織の3大活動であるサイバー犯罪、人身売買、麻薬取引への取り組みと同時に、知的財産への不法アクセスへの対処も必要だと語った。その理由について、「米国の競争力をむしばむだけでなく、不正な偽造品が流通することで米国民の健康や安全が危機にさらされる」と説明した。(c)AFP/Tangi Quemener