【7月12日 AFP】米国で11歳の時に誘拐されてから18年もの間、監禁されて性的暴行を受けていたジェイシー・リー・ドゥガード(Jaycee Lee Dugard)さん(31)が、18年間におよんだ監禁生活の苦難を初めてテレビで告白し、そのインタビュー番組が10日夜に放送された。

 ドゥガードさんは1991年、カリフォルニア(California)州で登校中にフィリップ・ガリドー(Phillip Garrido)受刑者とその妻、ナンシー・ガリドー(Nancy Garrido)受刑者に誘拐され、両受刑者の自宅裏庭にある建物に18年間監禁された。監禁中に2人の娘を出産したドゥガードさんは、その娘たちのおかげで生き延びることができたと監禁の日々を振り返った。

 最初の出産は14歳。ガリドー受刑者の裏庭で、1人きりでの出産だった。出産を人生で最も苦痛を感じた体験だったと振り返る一方、ドゥガードさんは「生まれてきた赤ちゃんは、とても美しくて、もう1人じゃないと感じさせてくれた。どうやって出産するのかも知らなかったけれど、私はやりとげた」と、米ABCニュースのインタビューで語った。

 ドゥガードさんの監禁生活をつづった手記「A Stolen Life(盗まれた人生)」は、今週発売される。この手記をつづる過程で、監禁時のことを全て思い返したことが、精神的に解放される手助けになったと、ドゥガードさんは言う。「(誘拐や監禁されたことを)もう一度、見つめ直しても、いいかなと思った。しっかりと見つめて、もう怖くなくなるまでそうした。秘密は全部なくしたかった。私は何も悪くないのだから」

■ 誘拐から救出までの長い18年

 ドゥガードさんは誘拐された状況も詳細に語っている。それは1991年6月10日、サウス・レイク・タホー(South Lake Tahoe)の自宅から学校に向かう途中のことだった。それは「人生で最悪の瞬間より10倍も最悪な出来事」だったと、ドゥガードさんは振り返る。

 繰り返される性的暴行を、どのようにして耐えたのか。ドゥガードさんは「自分の中にスイッチがあって、それを切るようににしていた」と説明する。「殴られ続けて殺されるなんて、とても想像できない。あなたも自分が誘拐されてレイプされるなんて想像もできないでしょ?だから、私も生き延びるためにすべきことをしただけ」

 2009年8月、ついにドゥガードさんに救出のチャンスが訪れた。ドゥガードさんによると、その日、ガリドー受刑者は自身の仮釈放の面接にドゥガードさんと娘2人を同行させていた。ガリドー受刑者は保護観察官にドゥガードさんを自分の娘だと説明し、ドゥガードさんも当初はこの設定に従って行動していた。

 だが、保護観察官が不審に思っているのが分かったドゥガードさんは、とっさに自分の本名を紙に書いて監察官に示したのだった。それは、ドゥガードさんにとって、長らく消えていた心の炎に再び火をともす行為だった。「(私の人生に)やっと光が戻ってきた。長い間、暗闇ばかりだったけれど、ついに光が、またともされたの」

 ドゥガードさんの誘拐・監禁事件では6月、フィリップ・ガリドー受刑者に禁錮431年、ナンシー・ガリドー受刑者に禁錮36年と終身刑が言い渡されている。(c)AFP

【参考】ドゥガードさんインタビュー(一部):米ABCテレビ(英語)