【5月6日 AFP】第1次世界大戦(World War I)の戦闘に参加し、生存していた最後の退役軍人だった英国生まれのクロード・チョールズ(Claude Choules)氏が5日、移住先のオーストラリアで死去した。110歳だった。

 「チャックルズ」(クスクス笑いの意)の愛称で親しまれていたチョールズさんは、視力はほとんど失い、耳も遠くなっていた。パース(Perth)の高齢者施設で夜に眠っていた間に亡くなったという。チョールズさんは、オーストラリア国内の最高齢者でもあった。

 チョールズさんは英ウースターシャー(Worcestershire)州生まれ。15歳だった1916年に英海軍の「インプレグナブル(HMS Impregnable)」に乗り組み、1918年のドイツ帝国海軍の降伏を目撃した。英スコットランド沖スカパ・フロー(Scapa Flow)でドイツ艦隊が自沈した時にもその場にいた。

 第1次大戦終結後、チョールズさんはオーストラリアに渡り、1926年にオーストラリア海軍勤務となった。

 第2次世界大戦(World War II)では、ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州フリマントル(Fremantle)で水雷士官補として、オーストラリアの地に初めて漂着したドイツ軍の水雷を処理した。また、日本軍がオーストラリアに侵攻してした場合にフリマントル港の豪軍艦船を爆破・沈没させるための爆発物を準備する任務も帯びていた。

 チョールズさんは、第2次大戦後も海軍にとどまったが、現役生活の後半は、パース南郊のセーフティ・ベイ(Safety Bay)で水産業に従事し、ザリガニを扱った。

 スコットランド生まれで保育士をしていたエセル(Ethel)さんとの80年間におよんだ結婚生活で、娘2人と息子1人をもうけた。このほかにも、孫13人、ひ孫26人、やしゃご2人に恵まれた。エセルさんは98歳で死去している。

 チョールズさんの死去についてジュリア・ギラード(Julia Gillard)豪首相は「世界史における壮大な1つの章の終わりを示すものだ」と述べた。

 今年始めに米国の退役軍人、フランク・バックルズ(Frank Buckles)氏が死去し、兵士3700万人が死傷した第1次世界大戦での戦闘経験を持つ退役軍人はチョールズさんただ1人となっていた。


【関連記事】
第1次世界大戦、最後の米兵が110歳で死去
第1次大戦で戦った最後の元英陸軍兵‎、111歳で死去