【11月12日 AFP】カードをこすると大麻の匂いがする「大麻スクラッチカード」を配布して、市民に匂いを覚えてもらい、通報に役立ててもらおう――オランダ当局が、大麻の違法栽培取り締まりに新手の取り組みを打ち出した。
 
「大麻栽培との戦いに協力しよう」と書かれた緑色のカードの表には2か所の枠があり、この部分をこすると大麻の匂いがする。カードの裏には警察の電話番号のほかに、都会で大麻栽培が疑われる場合の特徴が書き込まれている。「換気扇の音がする」、「カーテンが閉まったまま」、「電気の供給ポイントの接続が怪しい」など…そして、もちろん「匂い」である。

 当局では西部の大都市、ハーグ(Hague)とロッテルダム(Rotterdam)で計3万枚を市民に配布する。

 政府が任命した大麻栽培取り締まり特別チームの広報担当者はロッテルダムで記者会見し「市民には、こうした栽培によって危険にさらされていることを気づいてもらう必要がある。怪しい状況に気づいたら、必ず通報してほしい」と述べた。

 オランダでは、法律上では大麻は違法とされているが、1976年に導入された「寛容的」な適用方針の下、実際には5グラム以下の使用および所持は処罰対象から除外されている。また個人での使用目的であれば、5株までの栽培には事実上、当局が目をつぶっている。
 
 しかし、違法である大麻の販売や大量栽培には犯罪組織が関わっており、闇市場の取引規模は年間20億ドル(約1640億円)に上る。(c)AFP/Coralie Ramon