【8月27日 AFP】エイズウイルス（HIV）に感染している事実を隠して複数の男性と性交渉し、このうちHIVに感染した男性1人から告訴されたドイツの人気女性ポップグループ、ノー・エンジェルス（No Angels）のメンバー、ナジャ・ベナイサ（Nadja Benaissa）被告（28）は26日、執行猶予のついた禁固2年の判決を言い渡された。

　西部ダルムシュタット（Darmstadt）の裁判所は、同被告について重傷害罪1件と、同未遂2件で有罪とした。最高で10年の禁固刑になる可能性もあったが、被告が罪を認め反省していることから、検察と弁護側の双方が執行猶予のついた判決を求めていた。

　被告は裁判を通じ、HIVに感染している事実を隠して、避妊具を使わずに複数の男性と性交渉をもったことは認めたが、他人に感染させる意図はなかったと主張していた。

　この事件は、歴史的背景から個人のプライバシーに非常に敏感な同国において「メディアによる裁判」や推定無罪についての議論を巻き起こした。独週刊誌シュピーゲル（Spiegel）は裁判を「魔女狩り」にたとえた。またエイズ患者の支援団体などは、HIV感染者だけが安全な性行為の責任を負うべきだと考える風潮を生みかねないと懸念している。(c)AFP

【関連記事】独人気女性歌手、HIV感染隠して性交渉 1人感染