【4月21日 AFP】米国の料理店やスーパーマーケットで売られているすしネタのマグロを調査したところ、含有される水銀が摂取量制限を超えている例が多いことが明らかになった。調査対象のマグロにはクロマグロも含まれている。

 調査は、ニューヨーク(New York)州、ニュージャージー(New Jersey)州、コロラド(Colorado)州の料理店54店、スーパーマーケット15店で売られていたやトロのすし100個を対象に行われた。マグロの種類をDNA試験で特定したうえで水銀含有量を調べた。

 米環境保護局(US Environmental Protection AgencyEPA)によると、摂取しても人体に有害でないとされる水銀の摂取制限量の目安は1日に、体重1キロに対し、0.1マイクログラムという指標が一般的だ。

 体重60キロの女性を想定し、この指標に基づいて計算したところ調査したメバチマグロのトロでは平均0.351マイクログラム、赤身では0.344マイクログラムと制限量を超える数値が検出された。またクロマグロでもトロで0.123マイクログラム、赤身で0.180マイクログラムと超えていた。入手されたすしネタのうち、キハダマグロは赤身しかなかったが、これも0.164マイクログラムだった。

「調査したマグロのすしネタすべてで日本政府や米環境保護局が制限摂取量としている水銀含有量を超えていた。特にすしネタに最も使われることが最も多いメバチマグロの平均含有量は、1個食べるだけで、世界保健機関(World Health OrganisationWHO)や国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)が妊婦に注意を呼びかけている摂取量を超える」とEPAでは報告している。

 水銀の過剰摂取は知能発育不全や脳性まひ、視力喪失などの神経発達障害を引き起こすことが知られている。

 米自然史博物館(American Museum of Natural History)のチームによる今回の調査結果は21日、英専門誌「バイオロジー・レターズ(Biology Letters)」に発表された。(c)AFP