【4月15日 AFP】「貧しい人の生活をまるで分かっていない」――。世界的ベストセラー小説「ハリー・ポッター(Harry Potter)」シリーズの著者J・K・ローリング(JK Rowling)氏が14日、来月6日の総選挙に向けた英野党・保守党の税政策を厳しく批判した。

 保守党はマニフェストの中で、婚姻関係にある男女を対象に、年間150ポンド(約2万円)の税額控除を掲げている。保守党のデービッド・キャメロン(David Cameron)党首は、控除額はわずかでも、この政策が発するメッセージが重要だと主張している。

 この税政策について、「ハリポタ」第1作目の執筆時にはシングルマザーとして生活保護を受けていたローリング氏は英紙タイムズ(Times)で、貧しい人々の生活の実情について、「まったく無知だ」と批判した。

「貧困の現実を経験したことのない人は『重要なのはお金ではなくメッセージだ』と主張するが、子どもがお腹をすかせているのに2ペンス(約30円)足りなくてベークドビーンズの缶詰が買えない時、重要なのはお金だ。おむつを手に入れるために万引きを考えている自分に気づいた時に必要なのも、お金だ」

「貧困に苦しむシングルマザーに対するキャメロン氏の唯一の実際的な助言が『結婚すること』なのであれば、わたしたちが150ポンド提供する。キャメロン氏は実情をまったく分かっていないことを露呈した」

 ローリング氏は、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相率いる与党・労働党の支持者で、同党に多額の献金をしている。(c)AFP