【11月11日 AFP】一匹おおかみとして知られるホオジロザメが、メキシコとハワイ(Hawaii)の間の深海にある「ホオジロザメ・カフェ」と呼ばれる海域に集まっているとの研究結果が前週、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表された。

 米スタンフォード大学(Stanford University)のバーバラ・ブロック(Barbara Block)氏らの研究によると、東太平洋でかなりの数のホオジロザメが確認されたほか、新たな主要分岐群が確認された。このような分岐群が確認されたのは、南アフリカ沖、オーストラリア・ニュージーランド間の海域に続いて3か所目だという。

 これまで、食物連鎖の頂点に位置するサメは、食料や交尾の相手を求めて浅い海をランダムに泳ぎ回っていると考えられていた。しかし、8年以上にわたる衛星追跡、音響監視、遺伝子サンプルなどを用いた調査により、意外にも東太平洋のサメは「出不精」であることが分かった。

 サメは常に同じ経路を移動しているだけでなく、移動スケジュールにもこだわることが分かった。

 8月から12月、ホオジロザメは米カリフォルニア(California)州中部または北部沿岸沖で、アザラシやアシカなどを餌に暮らす。1月になると、約4000キロ西にあるハワイ周辺の深海を目指して移動し始め、4月から7月には最も多くのホオジロザメがハワイ付近に集まる。

 ただ、オスを中心に一部のホオジロザメは、移動経路の途中にある「ホオジロザメ・カフェ」で一服し、メスとちょっとした交流を図るとみられている。

 研究は、「移動が規則的なため位置の予測がしやすく、個体数調査、モニタリング、管理において明確な方法が選択できるだろう」と結論づけ、今回の発見が保護活動に貢献できると期待している。

 国際自然保護連合(International Union for Conservation of NatureIUCN)が今年終了した過去最大規模の調査によると、ホオジロザメやシュモクザメなど、外洋に暮らすサメの約3分の1が絶滅の危機にさらされているという。(c)AFP