【10月30日 AFP】男子テニス世界ランキング2位のラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が29日、1997年の薬物使用と、処分を避けるために虚偽の証言をしたと告白したアンドレ・アガシ(Andre Agassi)氏に対し、男子プロテニス協会(Association of Tennis ProfessionalsATP)が処分を下さなかったことにショックを受けていると語った。

 ナダルは、「もし当時、ATPがアガシをかばったのであれば、ひどいことだと思う。1つだけ言えるのは、当時その選手をかばい、ほかの選手を同様の行為で処分したのであれば、すべてのスポーツ選手に対し敬意を欠いている」と語っている。

 史上6人しかなし得ていない生涯グランドスラム(四大大会全制覇)を達成しているアガシ氏は、最高のテニス選手の一人とみなされているが、先日常習性の高い興奮剤メタンフェタミン(methamphetamine)を摂取していたことを明かし、世界に衝撃を与えた。

 アガシ氏は、処分を避けるためにATPに虚偽の証言をしたことも認めている。

 禁止されている興奮剤の陽性反応が検出されたことを告げられたアガシ氏は、興奮剤は偶然摂取したもので、酌量措置を求める内容の書簡をATPに送り、ATPは処分を見送った。

 これを受けて世界反ドーピング機関(World Anti-Doping AgencyWADA)のジョン・フェイヒー(John Fahey)会長は、ATPの上層部に対しこの件を明らかにするよう要請している。

 メタンフェタミンは、WADAの禁止物質及び禁止方法のリストに入っているが、世界反ドーピングコードは2004年から採用されており、時効期間は8年となっている。

 ATPは当時独自の反ドーピングプログラムを実施していたが、フェイヒー会長はアガシ氏の件を追求するようATPに求めている。

 ナダルは「不正行為は処分されるべきだ。引退した選手のこういう暴露は、意味もなく競技に損害を与えている」とし、アガシ氏の告白が理解できないと語っている。(c)AFP