「地味で口べた」? 潘国連事務総長を欧米メディアが酷評
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【7月25日 AFP】1期目の任期の折り返し地点を迎えた国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長(65)が、「仕事の成果が上がっておらず、パッとしないし、コミュニケーションを取るのが下手」と酷評されている。
ダルフール、スリランカ、ミャンマーが危機的状況に陥った際、潘事務総長は対応の対応に不手際があったとして非難の集中砲火を浴びた。攻撃したのは主に欧米のメディアで、米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal、WSJ)紙は前週掲載した記事で事務総長を「国連の透明人間」と評した。
最近、事務総長はミャンマーを訪問したが、これも批判の火に油を注ぐ結果となった。同国の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんの解放を要請する声明が無視された上、スー・チーさんとの面会さえ拒否されてしまった。こうなった原因は潘氏の「物静かな外交スタイル」にあると、批判者たちはみている。
■コミュニケーション能力不足?
ワシントンD.C.(Washington D.C.)で活躍するある人権問題専門家は、潘氏が各国政府に遠慮しすぎているし、人権を擁護するため国際社会をリードするより安保理常任理事国(米英仏露中)の意見に従うことを好んでいると指摘する。
また国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)の広報担当者は、潘氏が、スリランカやミャンマーの国内紛争の際に世界人権宣言を支持する姿勢を示さず口をつぐんだままだったと批判している。
「コミュニケーション能力は事務総長に求められる資質の1つだ」と、元国連関係者で現在はワシントンD.C.のシンクタンクに所属するアビオダン・ウィリアムズ(Abiodun Williams)氏は話す。「行動が言葉より雄弁な場合もあるが、やはり言葉は重要だ。国連が多くの分野で担う重要な役割についてのメッセージが十分効率的に伝えられていない」
柔らかな語り口の潘氏は、コフィ・アナン(Koffi Annan)前事務総長のようなカリスマ性に欠けると評する人もいる。だが、潘氏の側近たちは、こうした批判を不当なものとみており、「事務総長は礼儀正しく誠実でとても仕事熱心だ」と擁護する。
そうした1人、潘氏のアドバイザーのニコラス・ヘイソン(Nicholas Haysom)は、潘氏にカリスマ性がないと言われているのは「まったくの誇張だ」と話す。事務総長がズバズバ発言していないとか目立ったことをしないというのは、明らかに事実とは違うという。「人道的な危機や紛争が起きた場合、事務総長は極めて積極的に動いている。そのことが必ずしもすべて報道されていないというのが事実だ」
■母語でない英語で苦労
潘事務総長が英語で苦労していると指摘する声も多く上がっている。英語が母語でないためスピーチ原稿をそのまま読んでいたり、不自然だったり、退屈だという印象を与えている場合もあると話す潘氏の広報担当者は「潘事務総長は欧米ではなじみのないやり方でコミュニケーションを取っている。この点に異文化間のギャップがあると思っている」と語る。
潘氏のスタッフであるロバート・オール(Robert Orr)氏は「英語はハンディキャップではあるが致命的な欠点ではない。彼は過去に外相を務めた経験から、直接の対話を重視しており、一対一での対話では率直にはっきり物を言う」と述べている。
オール氏はまた、潘氏の功績は、気候変動、地球規模の健康の取り組み、食糧問題といった21世紀の問題を国連の重要課題にすえたことだと強調する。
国連と米議会との関係も、潘氏のおかげでかなり改善され、その結果、前年のような国連分担金の延滞問題もなくなり、米議会で国連を非難する声も減っているという。(c)AFP/Gerard Aziakou
ダルフール、スリランカ、ミャンマーが危機的状況に陥った際、潘事務総長は対応の対応に不手際があったとして非難の集中砲火を浴びた。攻撃したのは主に欧米のメディアで、米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal、WSJ)紙は前週掲載した記事で事務総長を「国連の透明人間」と評した。
最近、事務総長はミャンマーを訪問したが、これも批判の火に油を注ぐ結果となった。同国の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんの解放を要請する声明が無視された上、スー・チーさんとの面会さえ拒否されてしまった。こうなった原因は潘氏の「物静かな外交スタイル」にあると、批判者たちはみている。
■コミュニケーション能力不足?
ワシントンD.C.(Washington D.C.)で活躍するある人権問題専門家は、潘氏が各国政府に遠慮しすぎているし、人権を擁護するため国際社会をリードするより安保理常任理事国(米英仏露中)の意見に従うことを好んでいると指摘する。
また国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)の広報担当者は、潘氏が、スリランカやミャンマーの国内紛争の際に世界人権宣言を支持する姿勢を示さず口をつぐんだままだったと批判している。
「コミュニケーション能力は事務総長に求められる資質の1つだ」と、元国連関係者で現在はワシントンD.C.のシンクタンクに所属するアビオダン・ウィリアムズ(Abiodun Williams)氏は話す。「行動が言葉より雄弁な場合もあるが、やはり言葉は重要だ。国連が多くの分野で担う重要な役割についてのメッセージが十分効率的に伝えられていない」
柔らかな語り口の潘氏は、コフィ・アナン(Koffi Annan)前事務総長のようなカリスマ性に欠けると評する人もいる。だが、潘氏の側近たちは、こうした批判を不当なものとみており、「事務総長は礼儀正しく誠実でとても仕事熱心だ」と擁護する。
そうした1人、潘氏のアドバイザーのニコラス・ヘイソン(Nicholas Haysom)は、潘氏にカリスマ性がないと言われているのは「まったくの誇張だ」と話す。事務総長がズバズバ発言していないとか目立ったことをしないというのは、明らかに事実とは違うという。「人道的な危機や紛争が起きた場合、事務総長は極めて積極的に動いている。そのことが必ずしもすべて報道されていないというのが事実だ」
■母語でない英語で苦労
潘事務総長が英語で苦労していると指摘する声も多く上がっている。英語が母語でないためスピーチ原稿をそのまま読んでいたり、不自然だったり、退屈だという印象を与えている場合もあると話す潘氏の広報担当者は「潘事務総長は欧米ではなじみのないやり方でコミュニケーションを取っている。この点に異文化間のギャップがあると思っている」と語る。
潘氏のスタッフであるロバート・オール(Robert Orr)氏は「英語はハンディキャップではあるが致命的な欠点ではない。彼は過去に外相を務めた経験から、直接の対話を重視しており、一対一での対話では率直にはっきり物を言う」と述べている。
オール氏はまた、潘氏の功績は、気候変動、地球規模の健康の取り組み、食糧問題といった21世紀の問題を国連の重要課題にすえたことだと強調する。
国連と米議会との関係も、潘氏のおかげでかなり改善され、その結果、前年のような国連分担金の延滞問題もなくなり、米議会で国連を非難する声も減っているという。(c)AFP/Gerard Aziakou