【7月1日 AFP】ロンドン(London)でのネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)南アフリカ前大統領90歳の誕生日記念コンサートに出演したスーダン人ラップ歌手、エマニュエル・ジャル(Emmanuel Jal)さん(28)は27日、アフリカ各国の指導者は「アフリカの文化的価値観」が邪魔をしてジンバブエのムガベ政権をいさめられずにいると語った。

 ロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領は29日、5期目の就任式を行っている。

 元少年兵で国際的ヒップホップ・スターのジャルさんは、AFPに対し、ムガベ大統領は84歳という年齢に加えて大統領の在任期間がアフリカのどの指導者よりも長いこともあり、指導者たちはおしなべて彼に対しては控えめな態度をとると語った。

「難しいよ。ムガベは英雄扱いされているんだから。国を独立に導いたし、20年以上国を率いてきたし、ほかのアフリカ諸国の指導者の多くも助けてきた。南アフリカの反アパルトヘイト闘争も、アンゴラも。尊敬を勝ち取ったんだ。『恩をあだで返す』ということわざがあるだろ。だからいくらムガベが間違っていても、ほかの指導者たちは何も言うことができない」

 マンデラ氏は、ロンドンで開催された誕生日を祝う夕食会で、「(南アの)隣国ジンバブエの指導者らによる悲劇的な失敗」を非難した。これについては、「マンデラは年長者の1人だから、そういう発言をする権利がある。そしてムガベは、(自分よりも年長である)マンデラの話に耳を傾ける必要がある」と語った。

 さらに、前年末の選挙後に暴力が吹き荒れたケニアの場合のように、第三者的な国際機関が介入して解決策を見いだすべきだと強調した。「ムガベはもともと軍人だ。追い詰められて糾弾されてばかりでは、殺りくを行うようになるだろう」

 ジャルさんは、生まれ故郷の南スーダンでスーダン人民解放軍(Sudan People’s Liberation ArmySPLA)の少年兵だったという過去がある。同軍には、少年兵が150人程度いた。彼は10代初めのときに英国人の援助ワーカーでSPLAの司令官の妻でもあったエマ・マキューン(Emma McCune)さんに救い出され、隣国ケニアに脱出。その後音楽の世界に進む。

 マンデラ氏の誕生日記念コンサートでは、今は亡き彼女に捧げる曲「Emma(エマ)」を披露した。(c)AFP