【3月11日 AFP】悪名高い麻薬王が、子分たちへの極秘メッセージを託したのは「ハローキティ(Hello Kitty)」のかわいい画像ファイルだった。ブラジルのフォリャ・ジ・サンパウロ(Folha de Sao Paulo)紙が10日、報じた。

 ブラジル警察が同紙に伝えたところによると、2007年8月にブラジルで逮捕されたコロンビア人の麻薬組織首領、フアン・カルロス・ラミレス・アバディア(Juan Carlos Ramirez Abadia)容疑者は、デジタル暗号化された文書や音声メッセージをハローキティの画像に組み込み、組織の仲間へのメールに添付していた。

 アバディア容疑者のパソコンからは暗号化されたメッセージが数百件発見され、そのなかには海外へのコカイン密輸の詳細が記されたものが含まれていたという。

 同紙によると、画像に隠された暗号は、ブラジル警察当局に必要な機材が揃っていなかったため、米麻薬取締局(Drug Enforcement AdministrationDEA)によって解読されたという。

 一見無害な画像に暗号化されたメッセージを組み込むという手口は、2001年9月11日の米同時多発テロの準備段階で、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)が使っていたとされる。

 アバディア容疑者がハローキティを「メッセンジャー」として選んだ理由は、同容疑者の妻にあるとみられる。ハローキティの大ファンの妻は、ブラジルに所有する家のうち1部屋を、時計、いすから壁紙までハローキティグッズで埋め尽くしていたという。

 同容疑者は、メキシコを経由して米カリフォルニア(California)州にコカインやヘロインを密輸し、約18億ドル(約1800億円)の利益を得ていたとされる。(c)AFP