【2月21日 AFP】中国で同性愛者間でのエイズ(HIV/AIDS)感染拡大の懸念が高まる中、衛生当局が初めて男性同性愛者を対象とするエイズ対策に乗り出した。英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)が21日、報じた。

 同紙に掲載された衛生省のエイズ予防担当部門の幹部の説明によると、同プログラムは「同性愛者コミュニティにおけるエイズを予防し制御する対策を強化する取り組み」だという。同幹部は、「同性愛者についてさらに知識を得ることで、より多くの同性愛者をこの不治の病から守ることができる。すでに複数の都市で、同性愛者に関する研究、例えば行動パターンに関する情報の収集などを開始している」と語っている。

 また詳細は明らかにされていないが、計画では男性同性愛者に対し特別補助金や専門的支援も提供するという。

 チャイナ・デーリーによると、同省は、エイズ対策プログラムの手始めとして同性愛者の生活スタイルを把握する取り組みを実施していると発表した。

 これまでの中国政府は、同性愛は精神的障害だとの見解を示してきた。精神疾患の公式一覧から同性愛が削除されたのは、ようやく2001年になってのことだ。

 中国政府の推計によれば、全人口の約13億750万人のうち、約500万から1000万人が男性同性愛者だという。しかし、同性愛者の権利擁護を唱える活動家らは、実際にはもっと多数の同性愛者が存在していると主張している。

 また、前年、中国政府と国連(UN)、世界保健機関(World Health OrganisationWHO)がまとめた調査データによると、現在中国のエイズ患者数は約70万人で、男性同士の性行為による感染は全体の12.2%だった。

 いずれにせよ確かなことは、中国でエイズによって死亡する男性同性愛者は増加しているという事実だ。(c)AFP