【2月3日 AFP】(2月4日 写真追加)反政府勢力が前日、首都ヌジャメナ(N'djamena)を制圧したチャドでは3日、政府軍との激しい戦闘が新たに発生した。イドリス・デビ(Idriss Deby)大統領が残る大統領府は、反政府勢力に包囲されている。また、同国に滞在する外国人数百人が国外退避を開始した。

 国際援助機関などの報告によれば、首都ヌジャメナの市内には遺体が放置されて、略奪も発生している。1日以来、デビ大統領がこもっている大統領府周辺では、対戦車兵器や自動小銃の音が聞こえているという。

 旧宗主国フランスのエルベ・モラン(Herve Morin)国防相は、3日に発生した新たな衝突は、チャドの支配をめぐる政府と反政府勢力の対立にとって決定機となる可能性があると語った。

■外国人の退避ラッシュ、デビ大統領は居残る決断

 モラン国防相よると前日夜から未明にかけ、フランス政府は仏軍機による数回の輸送で計397人の外国人をヌジャメナから退避させた。フランス人のほか、ドイツ人、ベルギー人、スペイン人、ポルトガル人、エジプト人、アルメニア人が避難したが依然、約560人の外国人が同市の緊急避難場所3か所に残っているという。国連(UN)は全職員を引き上げる意向を発表した。また軍事筋によると、米国大使館の職員らは国外退避のため3日、ヌジャメナ空港にある仏軍基地に移動した。

 成長するチャドの石油産業に対する主要投資国の中国は独自に空輸体制を手配し、中国人210人および台湾人2人をカメルーンへ避難させると国営新華社(Xinhua)通信が伝えている。

 一方、仏政府はデビ大統領に国外退避の支援を申し出たが同大統領は断ったとされている。仏政府は今後もいつでも支援すると表明している。

■チャド外相は反政府勢力に「スーダンの影」と非難

 仏軍は国外退避を支援するため150人規模の追加部隊を派遣した。自身の結婚式を挙行中だったニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領は、デビ大統領との電話のため2回、席をはずした。

 戦闘による死者数は明らかにされていないが、国連の治安関係者によると多数の遺体が路上に放置されており、「燃やされたものや、めった切りされたもの」もあったという。

 軍事筋によると、チャド陸軍のヘリコプター部隊は空軍基地から出動し、国営ラジオ局がある首都南部への突入を試みている反政府勢力部隊を攻撃した。市上空にはフランス軍のミラージュ(Mirage)戦闘機も確認されている。別の情報筋は、政府軍の目的は「反政府勢力を市東部へ押し戻し、市中央部の領域を奪還することだ」と述べている。

 仏軍筋の発表によると、反政府勢力の戦闘員の数は約2000人で、対峙するチャド軍側は2000から3000人の兵力だという。

 チャドのアフマド・アラミ(Ahmad Allam-Mi)外相は、スーダン・ダルフール(Darfur)地方からの難民を保護するために予定されていたチャドおよび中央アフリカへの欧州連合部隊(EUFOR)派遣を中止させるため、スーダン政府がチャドの反政府勢力の背後で動いていると非難した。(c)AFP/Francesco Fontemaggi