ガトリン 出場停止処分を不服として法的手段も
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【1月3日 AFP】米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping Agency:USADA)から4年間の出場停止を受けたジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin、米国)が2日、処分を不服として法的手段を検討していることを米ワシントン・ポスト(Washington Post)紙にて明らかにした。
ガトリンは同紙に「私は自分が何も過ちを犯していないことを知っている。略奪されキャリアを終える機会さえも騙し取られてしまった」と語っている。
USADAの裁定委員会の投票により処分が下され、2010年5月24日まで出場停止となることから北京五輪の男子100メートルで五輪2連覇を達成する望みが絶望的となったガトリンは「彼ら(USADA)は私が懸命に積み上げてきた全てを奪い去った」と語っている。
ガトリンはスポーツ仲裁裁判所(Court of Arbitration for Sport:CAS)に提訴することが可能で、それに伴い国際陸上競技連盟(International Association of Athletics Federations:IAAF)が2001年の同選手のドーピング(禁止薬物使用)違反を取り消せば処分が軽減される可能性がある。
現在25歳のガトリンは、2006年4月22日にカンザスシティーで開催された競技会のドーピング検査で筋肉増強作用のある男性ホルモンのテストステロン(testosterone)が検出され、同年に記録した世界記録を剥奪されており、通常の処罰ではドーピング初犯の選手は2年の出場停止、再犯の選手は永久資格停止が言い渡されるが、審理に参加した3人の裁定委員のうち2人は、処罰が4年以下の出場停止処分で済まされることはないと語っていた。
ガトリンは注意力欠如障害の治療のために服用していた薬に含まれていた興奮剤により2001年にドーピング違反となったことで再犯扱いとされているが、裁定委員の一人であるクリス・キャンベル(Chris Campbell)氏は、2年以上の出場停止処分は米障害者法(Americans With Disabilities Act:ADA)に違反するとして異議を唱えていた。
ガトリンは最初のドーピング検査は無効であり、陽性反応が検出されたのは大会前に受けたマッサージでセラピストの悪意によりテストステロンが入ったクリームを塗り込まれたからだと訴えていたが、この主張は当のセラピストによって裁定委員会で否定されている。
ガトリンは自身の処分に関しIAAFがテネシー大学(University of Tennessee)の1年生の時に起こした2001年のドーピング違反を再考して「過失無し」と判断する可能性に希望を見出しており、クリス・キャンベル氏もIAAFが「過失無し」とした時は裁定委員会が出場停止期間の短縮を考慮するとしてガトリンの北京五輪へのドアが開かれる可能性を示唆している。
裁定委員会が2006年のドーピング違反を初犯として出場停止期間を2年に短縮すれば出場停止は2008年5月までとなることから、ガトリンは6月27日にオレゴン州のユージーン(Eugene)で開催される北京五輪の選考会に出場することができる。(c)AFP