【12月10日 AFP】ノルウェーの首都オスロ(Oslo)で10日、2007年度ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)の授賞式が行われ、アル・ゴア(Al Gore)前米国副大統領(59)と国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、気球温暖化に対する取り組みを認められて受賞した。ゴア氏は受賞演説で米国と中国に呼びかけ、両国は非難しあうことをやめ、地球温暖化に対し共に戦うべきだと述べた。

 ゴア氏は米国と中国を名指し、「両国は互いの行為をこう着状態の言い訳として使うことをやめ、代わりに、共有する地球環境の下で相互に生き残るための課題を進展させるべきだ」と主張した。

 ゴア氏と「気候変動に関する政府間パネル」は共に「地球温暖化の影響に関する意識を喚起した」功績で同賞を受賞した。オスロ市庁舎で行われた授賞式では、5人からなるノーベル賞委員会のOle Mjoes委員長が、「母なる地球のためにあなたがたがしてきたことに感謝し、われわれ皆にとって非常に重要な仕事におけるさらなる成功を祈ります。今こそ必要なのは行動です。気候変動はすでに人類の制御能力を越えつつあります」と祝辞を述べて両者に賞を手渡した。

 ゴア氏は演説で米中両国について「最も大胆な動きを起こす必要のある国は、わたしの国が最もそうだといえるが、CO2の最大排出国である2国であることは明白だ」と強く訴えた。経済先進国の中で京都議定書(Kyoto Protocol) を批准していない国は米国が唯一で、中国も拘束力のある排出削減目標は好調な自国経済に悪影響を与えるため支持しないと表明している。

 今年のアカデミー賞(Academy Awards)で、長編ドキュメンタリー賞を受賞した『不都合な真実(An Inconvenient Truth)』の製作にも携わったゴア氏は、「地球は熱のある状態で、その熱は上がっている。われわれは地球自身との戦いを始めてしまった」と、気候変動の悲惨な影響について嘆いた。

 インドネシアのバリ(Bali)島では、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第13回締約国会議(COP13)が開催中だが、ゴア氏は会議については楽観的な見方を披露した。バリ会議には約190か国や地域の代表が参加し、2012年の京都議定書の期限切れ後の地球温暖化に対する取り組みの枠組み作りへ向けて協議している。(c)AFP