<08年春夏パリ・コレクション>コレクション速報第3弾
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【パリ 3日 上間常正】(写真追加) 08年春夏パリ・コレクションは4日目の10月2日、コム デ ギャルソンやイッセイ ミヤケなどの日本勢を中心に13 ブランドのショーが開かれた。トレンドなどはどこ吹く風の個性的なクリエーションが目立った。 ■コム デ ギャルソン(COMME des GARCONS) 前回と同じ美術学校で開かれたコム デ ギャルソンのショーは、型破りで色彩に満ちた、いつにも増して力強い服を繰り出した。スタイルやアイテムの名称では表現しにくい服が並んだ。 顔は白塗りで、アイメークは黄色、頬にはピンクの紅。そんなアニメの人形のようなモデルが、ピンク、緑、黄、青などカラフルで服作りの文法を無視したような、それでいてやはコム デ ギャルソンとしかいえないような服を着て練り歩いた。 スカートの裾にカラフルなプリント柄の布をいくつも結んであったり、パンツはポンポンをいくつもつなげて作ったような外枠だけだったり……。東京のストリートの若手はごちゃ混ぜのポップ感覚が得意だといわれるが、こちらのごちゃ混ぜは迫力が断然違う。 バックステージで川久保玲は「今回のテーマは、あえていえば『不協和音』ですね」と語った。色々なルールをあえて無視して何かを作ることで、規範を超えた力強さを生み出そうとする試みだろう。不協和音には当然ある種のいらだちが感じられ、そこには川久保の現状への思いも投影されているのだろうが、にもかかわらず服は美しく見えた。
- コム デ ギャルソン<写真> ■ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARCONS) 今回のコレクションは、このブランドが以前から大きなテーマの一つにしていた「一枚の布」をさらに進化させた内容だった。巻きつけたようなドレープドレスはすぐにそれと分かるが、マントやジャケットなどのコーディネートのように見える服も、実は一枚のコットンの布からできていた。 こうしたバリエーションが明るい色の展開とともに、シュプリームズの軽快なポップに乗せて次々と登場するショーは見ていて本当に楽しかった。一つひとつの服はどれも完璧なボリュームのバランスがとれていて、全体の構成もバランスも見事に統一されていた。 今回のモチーフは「アフリカンルーツ」とのこと。そういえば布にドレープを寄せたり、手絞りのプリーツで装飾したりする布の使い方は、アフリカの民族服に共通した要素でもある。軽快なたのしさや、着心地の良さそうなゆったり感も「アフリカ的」といえるのかもしれない。 ■イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE) デザイナーが藤原大に交代して2シーズン目のコレクション。今回は「風」をテーマに、英国の電気掃除機メーカー「ダイソン(DYSON)」とコラボレートした作品を発表した。 前シーズンはまだブランドとしての統一感が出せないままのスタートとなってしまったが、今回でその新たな方向性が見え始めたようだ。 ショーはまず港、海のイメージでスタート。風の音に乗って、波のようにも風をはらんだようにも思えるプリーツが揺れるドレスやスカートが登場した。同じように揺れながら、 A-POCのアーティスティックな服が続いた。さらに今度は、ダイソンの掃除機の吸引バルブや機械の取手、サイクロンなど部品をそのまま平面化したようなパーツを持った服が現れた。 さらに、風をはらんだ帆のようなカンバス地のリゾートウエアや海図や天気図をプリントした服も続いた。ダイソン社のジェームス・ダイソン社長が設計した舞台装置からは、蒸し暑い会場に人工的な風が流れた。 ショーの後、藤原とダイソン社長が記者会見して今回のコラボレーションの意図を説明した。テーマの「風」は、窒息しつつある地球環境を打開する自然の力、そしてリサイクルの象徴でもある。藤原は「今回のデザインは、ダイソンの技術力とデザインの再利用でもある」と語った。ダイソン社長は「この経験が私の今後の機械デザインにも大きな影響を与えると思う」とコメントした。(c)MODE PRESS
- イッセイ ミヤケ<写真>
- イッセイ ミヤケ<動画> 関連情報
- AFPBB News編集長・上間常正ブログ「パリコレ3日目」
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