【ロンドン 26日 AFP】英国の美術作家フランシス・ベーコン（Francis Bacon）が自分で駄作だと思い、廃棄しようとした作品や工芸品が、オークションで100万ポンド（約2億3000万円）近くの値をつけたという。25日、地元紙が報じた。

　24日にロンドン南西部ウォーキング（Woking）で行われたオークションで、ベーコンが手放した絵画、日記、写真、小切手の控えなど45点が出品された。落札額は合計で96万5,490ポンド（約2億3000万円）にも上った。予想落札額を上回る品もいくつかあったという。

　最高落札額となったのは、1万2000ポンド（約285万円）から1万8000ポンド（約425万円）での落札が予想されていた絵画で、40万ポンド（約9500万円）の値がついた。2000ポンド（約47万円）から3000ポンド（約71万円）の落札が予想されていた横たわった犬の絵は、26万ポンド（約6180万円）で落札された。

　穴のあいた絵や、白紙のままの日記もあったという。

　「ベーコンは自分で自作を編集することで有名でした。彼が満足いく作品でなければ、気に入らない部分を切り抜いていました。ときにはそれが、頬や耳の部分だった」と語るのは今回のオークション関係者のChris Proudlove氏。

　「今回のような作品が出品されるオークションは珍しく、予想落札額の参考にする前例がなかった」と同氏は付け加えた。

　1978年、ロンドン西部にあるベーコンのスタジオで電気工として働いていたマック・ロバートソン（Mac Robertson）さんは、捨てられようとしていた作品を保存したいとベーコンに願い出たという。

　雑然としたスタジオで制作に励んでいたベーコンは、すべての作品を捨てようとしていたが、ロバートソンさんはそのうちのいくつかを持ち帰ることを許された。

　「彼（ロバートソン）は3つの鞄を満杯にしたのです」とProudlove氏は語った。

　今年2月、クリスティーズ（Christie’s）で行われたオークションでは、イタリア人女優ソフィア・ローレン（Sophia Loren）が出品した絵が1420万ポンド（約33億7000万円）の値をつけ、ベーコン作品の中では最高額のものとなった。

　アイルランドのダブリン（Dublin）で英国人の両親のもとに生まれたベーコンは、1992年4月に82歳で亡くなっている。

　写真は、今回のオークションに出品された絵画（撮影日時不詳）。(c)AFP/CHRISTOPHER PROULOVE