【ワシントン/米国 17日 AFP】米国人ジャーナリスト、ダニエル・パール(Daniel Pearl)氏の首を切断したと自白した国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の幹部ハリド・シェイク・モハメド(Khalid Sheikh Mohammed)容疑者に対し、パール氏に先立たれた妻Mariane Pearlさんが、憎しみや恐怖には屈しないと、その心境を語った。

■モハメドの狙いは分かっている

 「テロリズムに立ち向かう唯一の方法は、彼(モハメド容疑者)の自白が引き起こす嫌悪や恐怖感を自分でコントロールすることです」Marianeさんは語った。「夫を殺害した様子を絵で示すモハメド容疑者が何を考えているのか、私にははっきりと分かります。彼の目的が理解できるから、彼の行動に私が左右されることはありません」

 9.11米国同時多発テロの首謀者だと自白したとされるモハメド容疑者は、米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)の記者であったパール氏を2002年に拉致、殺害したことも認めている。

 この自白は、キューバ・グアンタナモ(Guantanamo)湾の米海軍基地で開かれた非公開審議の際に行なわれたものだと、国防総省(Pentagon)当局が15日に明らかにした。

■決して屈しない強い意志

 「モハメド容疑者のような人間が恐怖を増大させるほど、私は人間の威厳やヒューマニズムを尊び、恐怖に抵抗することをより固く決心します」と、同容疑者が本当の犯人かどうかはわからないとしながらも、Marianeさんは語った。

 「モハメド容疑者が私の心を変えることはできないし、夫がやり遂げたこと、残してくれたものを変えることはできません。夫は人間であるということは、美しく感動的なものだということを教えてくれているのです」

 ウォールストリート・ジャーナルの南アジア支局長だったパール氏は、2002年1月23日、カラチでイスラム過激派の取材中に誘拐され、その後、殺害された。

 パール氏が誘拐され、パキスタン全土では大規模な捜索が行なわれた。当時パール氏との第一子を妊娠していたMarianeさんは夜も眠らずに夫の帰りを待ち続けていた。

 写真はパール氏の事件を扱ったMarianeさんの著書「A Mighty Heart: The Brave Life and Death of My Husband Danny Pearl」。(c)AFP