【ワシントンD.C./米国 11日 AFP】11日、時計の針を1時間進めるサマータイム(夏時間)が始まる。法改正により開始日が従来より3週間早まったが、専門からは、混乱が発生し週の労働時間に影響を及ぼすとの懸念を示している。

 「2000年問題(Y2K)」を連想し、スケジュール調整や基幹システムに混乱が生じるのではとの警告を発する人々がいる一方で、例年より早くサマータイムに移行することで省エネ効果が期待できるとの見方を示す人々も多い。

■「経費削減と環境対策」vs「業務遅延」

 今回の変更は、2005年に成立した「包括エネルギー法」によって決定した。賛成派であるEdward Markey議員やFred Upton議員は、同法により人々が活動できる「明るい時間帯」が長くなるため、2020年までに44億ドル(約5205億円)の節約が可能と指摘。また、大型電力発電所の建設3か所以上が不要となり、2790億立方フィートの天然ガス消費抑制により、1080万トンの二酸化炭素排出を削減できるという。

 Markey議員は、「われわれは、例年より4週間分多く明るい時間に自由に活動できるだけでなく、大幅な省エネ、犯罪や交通死亡事故の減少、娯楽にあてる時間や経済活動の増大といった効果を期待できる」と述べた。

 しかし反対派は、基幹システムの情報更新による仕事の遅延、金融取引時間の誤差、飛行機の発着時間のズレなどを危惧(きぐ)している。

 周知が徹底され、大幅なシステム変更を促した2000年問題とは異なり、今回のサマータイム変更に対する注目度は低い。いずれにせよ、米国のサマータイム開始時期が欧州諸国などと異なることで、何らかの問題が起きる可能性は残されている。

 写真は5日、フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)の日没時の風景。(c)AFP/Getty Images Joe Raedle