【オスロ/ノルウェー 20日 AFP】2004年にエドバルト・ムンク(Edvard Munch)の「叫び(The Scream)」が盗まれた事件の控訴審が、20日にオスロで開始される。

 この事件で犯人がなぜこの絵画を盗むことができたのか、そして2006年に発見されるまでどこにあったかなどについて、いまだに謎とされている。今回の公判で、検察側はこれらの謎の解明に挑む。

 20日の裁判には、同事件の被告5人が出廷する予定。うち3人は一審で絵画の武装強奪に関与した罪で有罪判決が確定しているが、判決を不服として控訴している。残り2人は全容疑に関して無罪判決がおりているが、検察側が上訴している。

 ムンクの代表作「叫び」は、もう1つの代表作「マドンナ(Madonna)」とともに、2004年8月、オスロのムンク美術館(Munch Museum)から武装した2人組の覆面姿の窃盗団により白昼堂々と盗み出された。窃盗団は2枚の絵画を壁から外すと、共犯者が運転する盗難車に乗り犯行現場から逃走した。
 
 オスロ警察当局は2006年8月にこの2枚の絵画を保護。発見された状況や発見時までの所在については謎に包まれたままとなっている。

 有罪判決を受けて控訴しているのは、逃走の際にドライバーだったPetter Tharaldsen被告(懲役刑8年)、事件の主犯格とされるBjoern Hoen被告(懲役刑7年)、逃走車を提供したPetter Rosenvinge被告(懲役刑4年)の3人。また、Tharaldsen、Hoen両被告は、同絵画を所有するオスロ市に対し賠償金として7億5000万クローナー(約145億円)の支払いを命じられている。

 ムンク美術館で絵画を盗み出したSkjold被告と、事件後に盗まれた2枚の絵画を保管していたとされるThomas Nataas被告は、一審で無罪判決を受けているが、20日に出廷する予定。

 同事件ではもう1人の被告Morten Hugo Johansenも第1審で無罪の判決を受けているが、検察側は同被告の控訴を断念した。

 警察当局が2006年11月に行なった発表によると、絵画を盗み出したと犯人はおそらくもう1人いたが、その人物は麻薬の摂取過多が原因で死亡しており、公式に起訴されていないという。

 写真は、ムンク美術館(Munch Museum)に飾られているムンクも「叫び」(c) AFP/THE MUNCH MUSEUM