【SALMON/米国 29日 AFP】米魚類野生生物局(US Fish and Wildlife Service)は、国内3州において近くオオカミが絶滅危ぐ種リストから外される予定であることを明らかにした。将来的にはさらに別の3州でもリストから外すとの意向を示している。こうした動向は今後、数十年ぶりにオオカミの狩猟許可が復活する布石になるとみられている。

■ 個体数の回復が確認される

 魚類野生生物局のH. Dale Hall所長は電話記者会見で、保護指定から外す理由として、オオカミの個体数が十分に回復したことを指摘した。Hall所長ら関係者によると、今回、「種の保存法(Endangered Species Act)」が指定する絶滅危ぐ種としての保護対象から外されるのは、ミシガン州(Michigan)、ミネソタ州(Minnesota)、ウィスコンシン州(Wisconsin)の3州に生息するオオカミ4000頭。数週間以内にも除外が適用される見通し。さらに当局は、アイダホ州(Idaho)、モンタナ州(Montana)、ワイオミング州(Wyoming)に生息する1200頭も、保護対象から外すことを提案しているという。「種の保存法」は、国内で絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律。

■ 大量狩猟で絶滅の危機に

 米国に生息するオオカミは約100年前、家畜の保護を目的に政府主導で行われた絶滅計画が実施された際、大量に狩猟された結果ほぼ絶滅状態になった。1974年、絶滅危ぐ種に指定された時点で、ミネソタ州とミシガン州で生息が確認されたオオカミの個体数は、わずか48頭だった。

 1995年には、個体数の回復のためオオカミを自然環境で繁殖させようと考えた連邦政府の野生生物学者が、66頭のオオカミをアイダホ州中部とイエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)の野生に放した。

 写真は、モンタナ州に生息する灰色オオカミ(モンタナ州の魚類野生生物保護区提供、撮影日不明)。(c)AFP