【アラハバード/インド 29日 AFP】古代から続いてきた「クンブメーラ」の沐浴儀式。しかし、周辺地域の工業化などの影響を受けて河川の汚染が進み、危険にさらされている。その実情について、ガンジス川河畔からレポートする。

 1月初旬からインドで行われている6年に1度のヒンズー教の祭典「クンブメーラ(Ardh Kumbh Mela、「半分の水差し」の意)は、地球上で最大の宗教的行事。45日間の期間中、数百万人のヒンズー教徒がガンジス(Ganges)川、ヤムナ(Yamuna)川、サラスワティ(Saraswati)川が合流するアラハバード(Allahabad)のサンガム(Sangam)河岸に集い、沐浴により罪を浄化する。ヒンズーの神々と悪魔たちが「不死の果汁」の入った「水差し」をめぐり争ったとする神話に基づく祭りだ。



■ビデオ1 (1分36秒)

 聖なる川ガンジスで、ヒンズー教徒は罪を浄化する。世界最大の宗教行事のひとつ、「クンブメーラ」の祭典を祝おうと6年に1度、数百万人の教徒らがインド北部のアラハバードの河岸に集結する。

 しかし、魂の浄化を目指して川で水を浴びる巡礼者たちは、危険にさらされている。水質汚染のレベルは非常に高く、重大な健康リスクをもたらすほど深刻だ。

インタビュー1:デリー(Delhi)の科学環境センター、SURESH BABU氏(16秒)

 「インドの飲用、浴用水の水質基準とガンジス川を比べた場合、ガンジスの水質ではどの基準も満たせないことは明らかです。汚染の最大原因は下水で、バクテリアのレベルが高い。コレラや腸チフスなど水を媒介とする伝染病にかかりやすい状態なのです」。

 「クンブメーラ」の行われるサンガムに近い聖都バナラシ(Varanasi)では、川での沐浴は日常のことである。一方で、川での洗濯、ゴミの投げ捨ても日常的に行われている。火葬しきれていない遺体が川面を浮かんで流れてくることもまれではない。

 水質サンプルを採取して行った調査では、水浴びをするために安全とされるレベルよりも、数千倍も高い汚染レベルであることが判明した。こうした危険性にもかかわらず、集まる巡礼者が減る気配はない。

インタビュー2:巡礼者のひとり、RAJESH JANGWANさん(7秒)

 「(水は)きれいだともいえるし、汚れているとも言える。私たちの母である聖なる川の水なのだから、“不潔”だとは言えないでしょう」。

 「母なるガンジス川」を汚染から救うためには、信仰とは別の現実的な取り組みが必要である。しかし、沐浴の儀式に集う人々が河岸に殺到する一方で、水質改善の訴えにはこれまでのところ何の回答も与えられずにいる。(c)AFP/Michelle Hoffman