【エルサレム/イスラエル 19日 AFP】イスラエル政府は19日、財政危機に陥っているパレスチナ自治政府に対し、1億ドル(約122億円)を超える資金を提供すると発表した。資金提供を通じ、同自治政府の政権与党でイスラム原理主義組織の「ハマス(Hamas)」との対立で窮地に立つ穏健派のマフムード・アッバス(Mahmoud Abbas)議長を支援する。

 前年3月にパレスチナ自治区にハマス政権が発足以来、イスラエル政府がパレスチナ自治政府へ提供予定だった数億ドル相当の財源を留保したため、同自治区は経済危機に陥っていた。イスラエルがパレスチナ側への提供を留保している資金は、総額で6億ドル(約729億円)を超える。
 
 エフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相の側近は提供資金の使途について、人道目的とアッバス議長の警護部隊の強化費用に充当されると発表。この2点は前月のパレスチナ、イスラエル首脳会談における合意事項。

 パレスチナ側の交渉担当者Saeb Erakat氏は、提供される資金について「本来はパレスチナの資産」と強調した上で、イスラエルによりパレスチナ自治政府の財源全体の60%が毎月凍結されていると苦言を呈した。

 パレスチナ自治区では同日、欧州連合(EU)のハビエル・ソラナ(Javier Solana)共通外交・安全保障上級代表とアッバス議長が会談を予定している。ソラナ上級代表はパレスチナ和平協議の再開を目指して中東諸国を歴訪中。

 写真は同日、パレスチナ自治区のガザ市(Gaza City)で金曜礼拝に出席後、記者団と話す同自治政府のイスマイル・ハニヤ(Ismail Haniya)首相。(c)AFP/MAHMUD HAMS