【9月9日 AFP】フィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島にある商業都市サンボアンガ(Zamboanga)が9日早朝、重武装したイスラム反政府勢力100人余りに襲撃され、都市機能がまひしているという。サンボアンガはフィリピン南部の経済の中心都市の1つで、人口は約100万人。

 フィリピン軍によると、襲撃してきたのは反政府勢力「モロ民族解放戦線(MNLF)」の指導者ヌル・ミスアリ(Nur Misuari)氏を支持するグループで、9日未明にボートで海からサンボアンガに接近し上陸。軍部隊との衝突で兵士1人が死亡、6人が負傷したという。

 イザベル・クリマコサラザール(Isabelle Climaco-Salazar)市長によると、戦闘は市街地にも拡大し、武装勢力側は市民20人ほどを人質に取って軍に対抗しているという。同市長は、市内に侵入した武装勢力について「主な目標は、市庁舎にMNLFの独立旗を掲げることだ」と述べた。

 現地のAFP特派員によると、市内各地で大きな銃声が聞こえており、路上は閑散として店舗のシャッターは下ろされたままだ。重武装した警備員や軍部隊が、空港やホテル、銀行などの警備に当たっているという。 

■和平交渉で分裂

 MNLFはミンダナオ島にイスラム独立国家を建国することを目標に掲げ、ミスアリ氏が1970年代初頭に結成した。数十年にわたる紛争では、これまでに15万人以上が死亡している。

 ミスアリ氏は1996年、独立を放棄して自治区を樹立することで政府と和平合意した。しかし先月、和平交渉でMNLFが政府にないがしろにされたとして、交渉からの離脱を表明していた。

 フィリピン政府は現在、MNLF分派のモロ・イスラム解放戦線(MILF)と和平交渉を行っており、MILFは2016年までに新たな自治政府を発足させること目指しているが、MNLFはこの和平交渉に反対の立場を取っている。(c)AFP