【9月5日 AFP】シリア政府は昨年後半から今年前半にかけて広範囲にわたってクラスター爆弾を使用し、それによって多数の市民が犠牲になったとする報告書、「クラスター爆弾モニター報告(Cluster Munitions Monitor Report)」が4日、公表された。

 報告書によると、昨年だけでシリア国内のクラスター爆弾による死傷者は少なくとも165人に上り、世界全体で確認されている昨年の死者190人の大半を占めた。「シリアは2012年後半から今年前半にクラスター兵器を広範囲にわたって使用。民間人に多数の犠牲者を出した」という。

 毎年発表される同報告書は、2008年に署名されたクラスター爆弾の生産、使用、移譲、貯蔵を禁止した「クラスター爆弾禁止条約(Convention on Cluster Munitions、オスロ条約)」の批准国による実施状況の概要を示している。

 報告書作成に参加した国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)のメアリー・ウェアラム(Mary Wareham)氏は声明で、「シリアの広範囲にわたるクラスター爆弾の使用は民間人の不要な犠牲を引き起こしてきた」と述べている。

 クラスター爆弾は航空機から投下したり、砲弾に搭載したりして発射された親爆弾から広い範囲に多数の子弾を散布する。子弾は明るい色をしていることが多いため興味を持った子供が不発弾を拾った時に爆発することもあり、各国はその除去に苦慮している。(c)AFP