【9月4日 AFP】イラクの首都バグダッド(Baghdad)で3日、11の自動車爆弾が同時爆発し、少なくとも40人が死亡、100人以上が負傷した。同日はこの事件をはじめ、イラク全土で暴力行為が相次ぎ、死者数はこの日だけで50人を超えた。

 治安・医療当局者が明らかにしたところによると、この自動車爆弾の同時爆発はバグダッドのイスラム教シーア派が多い地区で午後6時(日本時間4日午前0時)ごろ発生。バグダッド中心部の商業地区カラダ(Karrada )地区のアイスクリーム店や、同市北部のマアマル(Maamal)地区の人出の多い市場などで民間人が殺傷された。

 これとは別に、同じくバグダッドの東部にあるシーア派モスクのそばや、同市北部タルビヤ(Talbiyah)のにぎやかな青果卸売市場付近でもそれぞれ自動車爆弾が爆発。この同市北部の現場にいたAFP記者によると、この爆発で車両数台と店舗10軒以上が激しい損傷を受けたという。

 最近は一般住民がカフェなどに出掛ける夕刻を狙った攻撃が増えており、この日の同時爆発もやはり同じ時間帯の発生となった。直ちに犯行声明を出した組織はないが、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)とつながりのあるスンニ派武装勢力がシーア派を「背教者」とみなして同時攻撃を行う事例が頻発している。

 この日はより早い時間帯にも複数の攻撃が発生して10人が死亡していた。AFPの集計によると、今年に入ってから同国での暴力行為による死者数は3900人を超えている。同国では長く続く政治的こう着状態や隣国のシリア内戦からの飛び火の懸念も相まって、2006~07年に発生し数万人が死亡した激しい宗派間抗争が再燃しつつあるという恐れが広がっている。(c)AFP/Salam FARAJ