【9月3日 AFP】シリアでの化学兵器使用疑惑に関連し、フランス政府は2日、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が先月「大規模な」化学兵器攻撃を行ったとする情報報告書をまとめた。

 アサド政権の毒ガス攻撃疑惑に対する軍事行動については懐疑的な見方が広がっているが、それを払拭したい考えのフランス政府は、軍と対外情報機関からの報告に基づいて作成した全9ページの報告書を公表。その中で、政権側が8月21日に首都ダマスカス(Damascus)周辺の反体制派支配地域で「通常兵器と化学剤の大量使用を組み合わせて」攻撃を行ったと断定した。

 また仏情報機関は、現場で撮影された複数の映像から、少なくとも281人の死亡を確認。さらに、これほど大規模な化学兵器使用であれば死者約1500人との報告も不合理なものではないとの認識を示した。また、「8月21日の攻撃は政権が命令・実行したもの」と断定、「反体制派にはこれほど大規模な化学剤を使った作戦を実施する能力はないと考えている」という見解を明らかにした。

 またある政府筋は同報告書とは別に、仏情報機関が入手した画像により「ロケット発射地点は政権の支配下にある」ことが判明したと伝えている。

 シリアでは民衆蜂起が始まった2011年3月以降で11万人以上が死亡したとされるが、米国とフランスでは政府が軍事介入に積極的な姿勢を示す一方で、国民からは深い懐疑の声が上がっている。

 この報告書は、ジャンマルク・エロー(Jean-Marc Ayrault)首相が2日、翌3日に議会でシリア問題を審議するのに先立って主要議員に提示したもの。フランス大統領には議会の承認を得ずに軍事行動を命じる権限が与えられているが、議員らの中にはフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領に対し、米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領と同じように議会の承認を求めるよう訴える者もいる。(c)AFP/Michael MAINVILLE