【8月29日 AFP】シリアで今月21日に化学兵器が使用された疑いが出ている問題で、英国は化学兵器使用の有無に関する国連(UN)の調査結果が出る前にシリア政権への軍事行動に踏み切る意向はないことが、英政府が28日に公開し、29日に議会で採決される予定の動議で明らかになった。

 この動議によると、なんらかの軍事行動を取るには国連の調査結果が確定した後に、下院で別途採決を行うことが必要だとされている。

 英国は、米国とフランスと共に、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が21日に首都ダマスカス(Damascus)近郊で毒ガスを使用して数百人を死亡させたとして、アサド政権に対する軍事行動へ向けて動いている。

 デービッド・キャメロン(David Cameron)首相は29日、アサド政権への制裁とさらなる化学兵器使用の阻止を目的とした軍事行動の正当性について、議員らに対し説明する予定だ。

 英首相官邸が公開した動議では、軍事行動に踏み切る前に国連安全保障理事会(UN Security Council)の承認を得るための「あらゆる努力」をするべきだとしている。

 英政府は28日、シリアの民間人を守るための行動を呼び掛ける決議案を、安保理の常任理事国5か国に提出し、軍事行動への支持を求めたが、英閣僚らは承認の見込みが極めて低いことを認めている。常任理事国には米国、英国、フランスの他、アサド政権に対する軍事行動に断固反対の立場を取るロシアと中国が含まれている。(c)AFP/Guy JACKSON