【8月28日 AFP】欧米諸国が軍事介入に踏み切る準備を進めている内戦状態のシリアについて、国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は28日、内部で意見が対立している国連安全保障理事会(UN Security Council)に対し、一丸となってシリアに平和をもたらすべきだと呼び掛けた。

 国際司法裁判所(International Court of Justice)が入居するオランダ・ハーグ(Hague)の平和宮殿(Peace Palace)で28日に行われた開設100周年の式典で演説した潘事務総長は「シリアは今日の世界における、戦争と平和に関する最大の難関だ。安保理は行動するための団結を見出さなければならない。その権限を平和のために使わなければならない」と述べた。

 シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が前週、反体制派に対して化学兵器を使用した疑いを受けて、米国や同盟諸国は軍事介入の準備を進めているが、これに対し安保理常任理事国の一つであるロシアは厳重な警告を発している。

 潘事務総長はまた、シリアで現地調査を行っている国連調査団にもっと時間を与えるべきだと述べ、外交的解決を強く呼び掛けた。さらにシリア政権と反体制派のどちらに対する武器供給も「さらなる流血の事態」を招いて状況を悪化させるだけだとし、「軍事的な論理によってすでにもたらされているのは、完全崩壊寸前の一国であり、混乱に陥った地域であり、世界的な脅威だ。なぜ、これ以上、火に油を注ぐのか」と語った。(c)AFP