【8月28日 AFP】フランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領は27日、化学兵器を使用した疑いがもたれているシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権を「罰する準備ができている」と述べ、反体制派への軍事支援の強化を表明した。

 オランド大統領は29日に反体制派の統一組織「シリア国民連合(Syrian National Coalition)」の代表と面会する予定。同組織は首都ダマスカス(Damascus)近郊で先週起きた政権側による化学兵器攻撃で、1300人以上が死亡したと主張している。

 政権側は化学兵器使用への関与を全面的に否定しているが、欧米・アラブ諸国からはアサド政権への処罰を求める声が高まっている。

 米国のチャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)国防長官は27日、アサド政権に対する米軍の攻撃準備は完了していると述べた。英国は、軍がシリア軍事介入のための緊急時対応計画を策定中だとしており、デービッド・キャメロン(David Cameron)首相はこの危機的状況について話し合うため夏季休会中だった議会を招集した。トルコのアフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)外相も、化学兵器の使用が事実なら「人道に対する罪」であり、「処罰は避けられない」との見方を示した。

 一方、国連安全保障理事会(UN Security Council)による介入を阻止することでアサド政権に外交面の支援を行っているロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は26日、キャメロン英首相に対しシリア政権側が化学兵器を使用した証拠は存在しないと語り、政権側の残虐行為を示す証拠は山積しているとする欧米諸国の主張に疑問を呈した。

■反体制派は攻撃対象を検討、政権側は防衛の構え

 シリア国民連合の幹部は、欧米諸国による軍事介入が数日以内に開始されることを見込んでいると述べると同時に、「これまでにシリア国民連合と(同じく反体制派の)自由シリア軍(Free Syrian Army)、同盟諸国が集まって会合を開き、攻撃対象を検討してきている」ことも明らかにした。それには、空港や軍事基地、兵器集積地などが含まれるという。

 これに対し、シリアのワリード・ムアレム(Walid Muallem)外相は27日に開いた記者会見で、いかなる軍事介入に対しても自己防衛を行うと強気な発言を行った。さらに、同国は世界を「驚かせる」能力を備えていると述べ、同国に対する軍事介入が実現すれば、イスラエルと国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)を利することになると警告した。(c)AFP