【8月27日 AFP】シリアの首都ダマスカス(Damascus)近郊で化学兵器が使用された疑いが出ている問題で、国連の調査団は26日、現地調査を開始した。

 韓国を訪問中の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長によると調査団は、21日に起きた化学兵器によるとみられる攻撃の被害者に、聞き取り調査を行った。国連調査団は「非常に危険な状況」に直面しながらも、「2つの病院を訪れ、目撃者や生存者、医師らに聞き取り調査を行い、検体も採取した」と潘氏は述べた。国連報道官も、「非常に大きな成果が得られた1日だった」として、調査団は「早くも有益な証拠を収集中だ」と述べた。

 同時に潘事務総長は、国連調査団の車両が現地入りの直前に何者かに狙撃されたことについて、同国政府と反体制派の双方に対し「強く抗議」したことも明らかにした。この狙撃については、政権側と反体制派が互いに相手側の犯行と主張している。

 この疑惑をめぐっては、毒ガスによって死亡したとみられる多数の子供たちの遺体を写した写真が出回り、世界に衝撃を与えている。欧米諸国ではシリアに対する軍事介入に踏み切るかどうかの議論が活発化しているが、同国のバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は強気な姿勢を崩さず、米国やその同盟国によるいかなる攻撃も間違いなく失敗するだろうと断言。また同国政府の最大の支持国であるロシアは、欧米が軍事介入を行った場合、「中東・北アフリカ地域全体にとって危険な結果を招くだろう」と警告している。(c)AFP