【8月9日 AFP】シリアの首都ダマスカス(Damascus)で8日、礼拝のためモスクへ向かっていたバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の車列に反体制派が直接攻撃を行ったとの報道に対し、政府側はこれを否定した。同国で反体制派が蜂起した2011年3月以来、同大統領に対する直接攻撃が報じられたのはこれが初めて。

 中東の衛星テレビ局「アルアラビーヤ(Al-Arabiya)」を含む複数のメディアと、現場の反体制派によると、アサド大統領の車列を標的としたロケット弾と迫撃砲による攻撃があったという。同大統領一行は、イスラム教のラマダン(断食月)明けの祝祭「イード・アル・フィトル(Eid al-Fitr)」の礼拝のため、首都中心部にあるモスクへ向かっていたとされる。

 これについて同国のオムラン・アヘド・ゾウビ(Omran Ahed al-Zoubi)情報相は国営テレビ局に対し、「アルアラビーヤが報じたのは全くの誤報だと断言できる」とし、「アサド大統領は自らの運転でモスクに到着して礼拝に参列し、毎日国民に会えば必ずするように、モスク内の全員にあいさつした」と述べた。さらに、「全て通常通り。メディアはシリア国民の祝祭に水を差そうとしたようだ」とも語った。

 中東で大きな影響力を持つサウジアラビアは、イスラム教シーア派(Shiite)から派生したアラウィ(Alawite)派に属するアサド氏の追放を目指すスンニ派(Sunni)率いる反体制派を、積極的に支援している。

 国営テレビ局は、朝の礼拝で他の高官と並んで座るアサド大統領の映像を放映。その中で同大統領はくつろいだ様子で、笑顔も見せている。内戦に突入以降、同大統領が公共の場所に姿を見せるのはまれ。

 一方シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)は、報じられたロケット弾攻撃の事実確認は取れていないとしているが、アサド大統領の事務所があり、同大統領が礼拝に参列した場所からほど近い、首都中心部の高級地区に迫撃砲の砲弾が着弾したことは確認しているという。また、少なくとも2つのイスラム系反体制派グループが、アサド大統領の車列を攻撃したと、交流サイト(SNS)フェイスブック(Facebook)上で主張している。(c)AFP