【8月9日 AFP】パキスタン南西部で8日、警察署での葬儀を標的とした自爆攻撃があり、少なくとも38人が死亡、数十人が負傷した。死傷者の大半が警察官だった。イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」が犯行声明を出している。

 自爆攻撃が発生したバルチスタン(Baluchistan)州の州都クエッタ(Quetta)の警察署には、わずか数時間前に銃殺された警察官を弔うため、同僚の警察官が集まっていた。だが、イスラム教のラマダン(断食月)明けを祝う「イード・アル・フィトル(Eid al-Fitr)」直前に営まれた葬儀は、血の海と化した。殺害された人の中には、クエッタ警察署の幹部1人も含まれていたという。

 この攻撃について、TTPのシャヒドラ・シャヒド(Shahidullah Shahid)報道官は同組織による犯行と認め、「われわれが実行した。そしてこれから数日の間に別の大きな攻撃を目にすることになる」と述べた。パキスタン当局は、11日まで続くイード・アル・フィトルの祝祭中にさらなる攻撃の恐れがあるとして警戒を強めている。

 アフガニスタンとの国境に接するバルチスタン州北部の部族地域は、アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系武装勢力が集まる無法地帯となっている。シャヒド報道官は今回の攻撃を、これらの組織を標的にした米国による無人機攻撃への報復としている。

 さらに同報道官は、「われわれは警察やその他の保安当局と戦争状態にある。彼らはわれわれを攻撃し、われわれも彼らを標的にしている」とし、「機会さえあれば場所や時を問わず、保安当局や政府関係者、警察を狙って攻撃する」と話している。

 クエッタ周辺では、イスラム教少数派のシーア派に対する暴力行為や、パキスタンからの分離独立を目指すバルチ(Baluch)人による暴力行為の方が目立ち、TTPによる犯行はまれ。しかし今回の事件により、新たに選出された政府が政権の座に就いて以降TTPが攻撃を激化させているのではないかという懸念が生まれている。(c)AFP/Maaz Khan