【8月2日 AFP】宗派間対立が激しさを増すイラクでは7月、カフェの爆破や刑務所の襲撃などによる死亡者が約1000人に上り、2008年以後の5年間で最多となった。

 イラク政府の発表によると、7月の死者数は989人。そのほとんどが民間人だが、イラクの治安当局も攻撃の標的になっている。一方、国連(UN)の統計による7月の死者数は1057人、AFPの統計では875人と開きはあるものの、どれも同国の治安が悪化の一途をたどっていることを示している。7月に最も多くの死者を出した事件としては、同国北部キルクーク(Kirkuk)のカフェで41人が死亡した自爆攻撃などが挙げられる。

 国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の前線部隊「イラクとレバント地方のイスラム国家(Islamic State in Iraq and the Levant)」が犯行声明を出した首都バグダッド(Baghdad)近郊アブグレイブ(Abu Ghraib)とタージ(Taji)の刑務所襲撃事件では、計50人以上が死亡し、アルカイダの幹部らを含む500人以上の受刑者が脱獄した。

 危機管理会社「AKEグループ(AKE Group)」のイラク専門家、ジョン・ドレーク(John Drake)氏は、「治安部隊の装備が不十分であるため、万全な安全管理下にあるべきの施設を守れなかったことが、刑務所襲撃事件で浮き彫りになった」と指摘する。

 イラクの首都バグダッド(Baghdad)で取材に応じた47歳の男性は「治安改善のためには、(当局が)政治を立て直すべき。でも、この国での政治的解決には、奇跡が必要だ」と語った。(c)AFP/W.G. Dunlop