【7月30日 AFP】パキスタン北西部で29日夜、警察官の制服を着た武装勢力が刑務所を襲撃し、治安部隊と銃撃戦となった。この襲撃でイスラム強硬派の戦闘員らを含む受刑者230人以上が脱走した。

 当局の発表によると、襲撃されたのはカイバル・パクトゥンクワ(Khyber Pakhtunkhwa)州の都市デライスマイルカーン(Dera Ismail Khan)の中央刑務所。アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の武装勢力が活発で無法地帯と化しているアフガニスタン国境の部族地域からも近い。

 武装勢力は外壁を爆破して刑務所内に侵入し、刑務官らに手りゅう弾を投げつけたという。銃撃戦は3時間に及んだ。この襲撃で警官4人を含む少なくとも12人が死亡、7人が負傷した。

 現地民放テレビ局ARYニュース(ARY News)に対し、パキスタンの政府高官は「合計243人の受刑者が脱走した。そのうちの6人は逮捕した。逃走中の受刑者のうち30人は強硬派の戦闘員だ」と述べた。

 治安関係者によると、同刑務所には治安部隊への攻撃や政党・民族や宗派間の抗争による殺人行為に関与した戦闘員300人を含む受刑者最大5000人が収容されている。

 刑務所の襲撃についてイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」が犯行を認めている。AFPの電話取材に応じたTTPのシャヒドラ・シャヒド(Shahidullah Shahid)報道官は「60人の自爆攻撃要員を含むタリバンのメンバー約150人が中央刑務所を襲撃し、300人の受刑者を解放した」と語った。(c)AFP