【6月29日 AFP】(一部更新)イスラム主義組織出身のムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)氏が大統領に当選してから1年を迎えたエジプトで28日、北部にある同国第2の都市アレクサンドリア(Alexandria)などで、同大統領の支持派と反対派のデモ隊が衝突し、米国人1人を含む3人が死亡した。

 テレビ局が撮影した映像では、同市のシディ・ガベル(Sidi Gaber)地区で銃声が聞こえた後、デモ参加者が四方八方に逃げ去る様子が映し出された。

 医療関係筋によると、死亡した米国人は21歳で、散弾銃の傷で病院に運ばれたという。当局によると、アレクサンドリアのアメリカ文化センターの職員で、デモ隊の写真を撮っていた際に死亡した。首都カイロ(Cairo)にある米大使館の職員はAFPの取材に対し、「米国人1人死亡との報道を聞いた。確認を行っている最中だ」と語った。

 アレクサンドリアではこの他に1人が死亡している。治安当局者や目撃証言によると、北部ポートサイド(Port Said)では、正体不明の集団が反モルシ派のデモ隊に小型爆弾を投げつけ、エジプト人ジャーナリスト1人が死亡、数人が負傷した。

 治安当局によると、衝突はナイルデルタ(Nile Delta)のダカリヤ(Daqahliya)県とブハイラ(Beheira)県でも発生し、全国で少なくとも130人が負傷した。アレクサンドリア市とダカリヤ県アガ(Aga)では、モルシ大統領がかつて所属していたイスラム主義組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」が結成した与党・自由公正党(Freedom and Justice Party)の事務所が放火され、ブハイラ県でも同党の事務所が襲撃されたという。

 一連のデモでは、反モルシ派が「革命を乗っ取った」として同大統領を非難する一方で、支持派は最後まで同大統領の正当性を擁護すると誓っている。

 28日に起きた衝突は、モルシ大統領就任1周年を迎える30日に反対派が計画している大規模な抗議行動の前触れとみられている。ナイルデルタ地域では26日から27日にかけても衝突が起き、少なくとも4人が死亡した。(c)AFP