【6月26日 AFP】イラク各地で25日、デモ参加者と巡礼者を主な標的とした爆弾攻撃が相次ぎ、合わせて17人が死亡した。同国では暴力行為が激しさを増しており、全面的な宗派対立の再燃を懸念する声が出ている。

 これにより、6月の合計死者数は350人を超えた。いずれの攻撃についても犯行声明は出ていないが、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)とつながりのあるスンニ派武装勢力はシーア派を標的とする攻撃を頻繁に行っている。スンニ派武装勢力はシーア派を背教者とみなしており、同日被害に遭ったデモ参加者と巡礼者も同国で多数を占めるシーア派の信者だった。

 この日最多の死者を出したのは、多様な民族が混在する北部の町トゥズフルマトゥ(Tuz Khurmatu)での攻撃だった。町の周辺地域は、3県からなるクルド自治区が領有権を主張している場所だが、中央政府はこれに応じていない。

 暫定町長と医師の話では、シーア派のトルクメン人デモ参加者が集結していたテントの中で、2人が自爆攻撃を行い、これにより少なくとも11人が死亡し、55人が負傷したという。このデモ隊は、頻繁に攻撃対象となる同町の治安体制の不備に対する抗議を行っていた。

 この他、首都バグダッド(Baghdad)の南にあるイスカンダリヤ(Iskandiriyah)で、同国中部のシーア派聖地カルバラ(Karbala)に向かっていた巡礼者らが乗っていたミニバスに磁石で取り付けられた「粘着爆弾」が爆発、警察と医師によると、3人が死亡、15人が負傷した。この巡礼者らは、同派の特別な存在である8世紀の第12代イマーム(宗教指導者)マフディ(Mahdi)の生誕記念行事に参加するところだった。

 バグダッドでは、同じくミニバスに取り付けられた粘着爆弾が爆発して3人が死亡した他、キリスト教の一教派のアッシリア教会の外で警備員2人が武装集団の銃撃を受けけがをする事件も発生した。

 前日24日にも、バグダッドの市内と北郊で複数の自動車爆弾が爆発し、死者35人を出したばかり。同国は、長引く政治的な行き詰まりと、2008年以降で最悪レベルに達した暴力の連鎖にあえいでいる。(c)AFP/Marwan Ibrahim