【6月6日 AFP】シリア問題をめぐる国連(UN)とアラブ連盟の合同特別代表を務めるラクダール・ブラヒミ(Lakhdar Brahimi)氏は5日、スイス・ジュネーブ(Geneva)で記者会見し、シリア内戦終結に向けた国際会議の6月中の開催が不可能になったと述べた。

 ジュネーブでは同日、国際会議開催に向けた米国とロシアの代表との準備会合が行われたが、ブラヒミ氏によると、シリア反体制派側が会議出席についての大筋の合意に至っていないことや、反体制派の代表を務める人物の選出をめぐり意見が分かれていることが障害となった。ブラミヒ氏は「できれば7月に」会議を開催したいと話している。

■クサイルでは政府軍が勝利

 一方、シリア政府軍は同日、レバノンとの国境近くに位置する戦略上重要な町クサイル(Qusayr)から反体制派を追放した。クサイルでは、国境を越えて進攻するイスラム教シーア派組織ヒズボラ(Hezbollah)の戦闘員が主導する激しい戦闘が17日間にわたり続いていた。

 レバノンとの国境からわずか10キロメートルに位置し、シリアの首都ダマスカス(Damascus)を地中海沿岸と結ぶ武器や戦闘員の輸送路上にあるクサイルの街並みは、今回の争奪戦で壊滅的な損傷を受けた。

 クサイルの奪取は、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権に忠誠を誓う勢力に、反体制派が大部分を支配する中部の都市ホムス(Homs)への進攻に道を開いた。

 米シンクタンク「ブルッキングス研究所(Brookings Institution)」の中東研究部門「ブルッキングス・ドーハ・センター(Brookings Doha Center)」のアナリスト、シャディ・ハミド(Shadi Hamid)氏は、クサイルでの反体制派の敗北について、「政権の崩壊は不可避ではなく、反体制側にも敗北の可能性があることを示した」とAFPの取材に語った。(c)AFP