【5月31日 AFP】イラクの首都バグダッド(Baghdad)などで30日、爆弾攻撃が相次ぎ、32人が死亡した。これにより、同国での5月の死者数は600人を超え、宗派間の全面対立を危惧する声が高まっている。

 保安当局と医療関係者によると、最も死者が多かったバグダッドでは、6つの自動車爆弾と、その他2回の爆発により、23人が死亡、少なくとも79人が負傷した。同国とヨルダンを結ぶ幹線道路で2人の国境警察官が待ち伏せに遭い殺害された他、北部のモスル(Mosul)では、車を使った自爆攻撃で3人の警察官が死亡、同市西郊で発生した別の類似攻撃でも4人の死者が出た。

 保安・医療筋からの報告を基にしたAFPの独自集計では、5月の死者数は計607人となり、2か月足らずで1000人以上が命を落としたことになる。同国で宗派対立が最も激化したのは、各月の死者数が優に1000人を超えていた2006~07年。死者数は当時よりまだ少ないものの、3月以前の月と比べて大幅に増加している。

 国連(UN)は同国指導者に対し、同国は暴力の連鎖で「いつ爆発してもおかしくない」状況にあると警告、現在の政情悪化につながりがあるとされる多岐にわたる政治問題の解決を目指して早急に討議の場を設けるよう要請した。

 一方、同国政府がこれまでに示した公的な反応は、スピーチや保安当局上層部の大改造、具体性の乏しい治安関連措置の発表にとどまっている。(c)AFP/Prashant Rao