【5月30日 AFP】パキスタン当局によると、同国北西部の無法部族地域、北ワジリスタン(North Waziristan)で29日、イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」のナンバー2に当たるワリウル・ラフマン(Waliur Rehman)幹部が米国の無人機攻撃により死亡した。

 29日朝、北ワジリスタンの家屋に1機の米無人攻撃機から発射された2発のミサイルにより、ラフマン幹部の他、少なくとも5人が死亡したとされる。

 パキスタンの治安当局筋がAFPの取材に語ったことによると、攻撃の標的はラフマン幹部だった。同幹部はかねてから米政府が500万ドル(約5億円)の懸賞金を懸けていた人物。バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は先週、無人機使用に関するより厳しい規定を定める新指針を発表している。

 攻撃は、タリバンと国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)関連武装勢力の主要活動拠点である北ワジリスタン地域の中心都市ミランシャー(Miranshah)近くのチャシュマ(Chashma)村で行われた。ラフマン幹部の死亡は、複数の町の当局の他、部族筋や情報当局筋が確認した。治安当局筋によると、他の死亡者は地方指揮官2人を含むTTP 幹部で、民間人が犠牲になったとの報告はない。

 米政府は、ラフマン幹部がアフガニスタンに駐留する米軍とNATO軍に対する攻撃を組織したと主張し、米中央情報局(CIA)の職員7人が死亡した2009年の在アフガニスタン米軍基地への自爆攻撃に関連し、行方を追っていた。

 米国による無人機攻撃が行われたのは、パキスタンで5月11日に行われた選挙後では初めて。選挙で勝利した政党パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(Pakistan Muslim League-NawazPML-N)のナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)元首相は以前から、無人機攻撃はパキスタンの主権への「挑戦」であると述べ、米政府に対し、ペキスタン側の懸念を深刻に受け止めるよう求めている。シャリフ氏は来月5日に首相に就任する予定。(c)AFP/Hasbanullah Khan