【5月23日 AFP】米政府は22日、イスラム過激派組織の幹部だったイエメン系米国人、アンワル・アウラキ(Anwar al-Awlaki)師を含む4人の米国市民を、国外で実施した対テロ作戦で殺害したと初めて公式に認めた。

 エリック・ホルダー(Eric Holder)司法長官は、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の対テロ方針に関する演説前日に連邦議会幹部に宛てた書簡で、米政府が2009年以降に行った国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)とその関連勢力を対象とした対テロ作戦でアウラキ師を殺害したと言明。同時期に、パキスタン系米国人サミル・カーン(Samir Khan)容疑者、アブドルラーマン・アウラキ(Abdulrahman al-Awlaki)容疑者、ジュード・ケナン・モハメド(Jude Kenan Mohammed)容疑者の3人の米市民も殺害したことを明らかにした。

 書簡によると、アウラキ師は2011年9月にイエメンで行われた作戦の対象だったが、他の3人は直接の攻撃対象ではなかったという。

 アウラキ師とカーン容疑者はそれまで犯罪容疑者として訴追されたことのない米市民だった。このため無人機攻撃による2人の殺害は、適切な法手続きなしにテロ容疑対象の米市民を暗殺する権限が、米大統領に憲法上許されるのかとの議論を呼んでいた。

 作戦実施当時、米当局はアウラキ師殺害を認めつつも、作戦に米中央情報局(CIA)の無人機が使われたかどうかについては確認を拒否していた。

 ホルダー長官は、アウラキ師が言葉での挑発にとどまらず米国の安全保障における現実的な脅威になっていたと説明し、米政府として公式に同師の殺害を正当化した。また、09年12月25日に起きた米航空機の爆破未遂事件にアウラキ師が関与したとの米政府の主張を改めて指摘。その後明らかになった米貨物輸送機を墜落させる計画にも、同師が関与していたと述べた。

 今回のホルダー長官の書簡では、パキスタンにいるとの情報を最後に行方が分からなくなっていたモハメド容疑者の消息も明らかになった。米連邦捜査局(FBI)の最重要指名手配リストに入っているモハメド容疑者は、9.11同時多発テロから10年の節目に、ニューヨーク(New York)か首都ワシントン(Washington D.C.)でトンネルか橋を爆破する計画を立てていた疑いがもたれている。

 オバマ大統領は23日、米国防大学(US National Defense University)で演説し、大統領2期目における対テロ方針を表明する。米無人機計画や、キューバ・グアンタナモ(Guantanamo)米海軍基地内の収容施設閉鎖に向けた努力についても説明するとみられる。(c)AFP/Stephen Collinson