【4月25日 AFP】イラク北部で23日に起きた治安部隊とデモ隊の衝突をきっかけに、同国各地で暴動が勃発している問題で、24日、武装集団が北部サラハディン(Salaheddin)州の町スレイマンベック(Sulaiman Bek)を制圧したことが、当局者の話により分かった。

 当局の統計では、23、24両日の暴動で計128人が死亡、269人が負傷した。うち死者102人と負傷者195人は治安部隊とデモ隊、そして双方の支持者らを巻き込んだ衝突や攻撃によるものとされている。

 イラク北部で起きたデモ隊と治安部隊との衝突後に発生した一連の暴動では、イスラム教スンニ派が多数を占める地域で4か月以上続く抗議行動に関連したものとしては最多の死者を出している。同地域のスンニ派デモ参加者らは、シーア派のヌーリ・カメル・マリキ(Nouri Kamel al-Maliki)首相の退陣を要求し、当局がスンニ派コミュニティをターゲットにしていると非難してきた。

 治安部隊の隊員らや当局者によると、首都バグダッド(Baghdad)の北に位置するスレイマンベック周辺では24日、戦闘により兵士5人と武装集団のメンバー7人が死亡、兵士20人を含む63人が負傷した。武装集団側の動機は23日のデモ隊衝突に対する報復とみられており、町は最終的にこの集団によって制圧された。同地域を管轄する地元当局者によると、治安部隊は完全に撤退し、地域は武装集団の支配下にあるという。(c)AFP/W.G. Dunlop