【4月24日 AFP】イラクでは23日、北部で発生した治安部隊とデモ隊との衝突や、衝突を受けて各地で起きた軍への報復行為により、計54人が死亡した。イスラム教スンニ派が多数を占める地域で4か月以上前から続く抗議活動に関連した死者数としては、これまでで最多となった。こうした事態を受けてスンニ派の閣僚2人が辞任するなど、同国では緊張が高まっている。

 抗議を続ける人々は、シーア派のヌーリ・カメル・マリキ(Nouri Kamel al-Maliki)首相の退陣を要求し、当局がスンニ派コミュニティをターゲットにしているとして非難の声を上げている。

 また同日には暴動とは無関係とみられるスンニ派信者への攻撃により13人が死亡し、23日の死者数は計67人に上った。

 衝突が起きたのは、イラク北部キルクーク(Kirkuk)県キルクーク西郊にあるハウィジャ(Hawijah)近郊。同地域では1月からデモが続いている。複数の軍関係者によると、今回の衝突は同地域に治安部隊が入った同日未明に発生し、27人が死亡、70人が負傷した。

 だが衝突に至った経緯については、食い違った説明がなされている。同地域を管轄するイラク軍准将は、作戦の標的が「ナクシュバンディヤ軍(Naqshbandiya Army)」として知られるグループのスンニ派戦闘員だったとし、相手側からの銃撃を受けて発砲したと話した。

 一方、デモ隊側の説明では、衝突は政府軍が引き起こしたとされている。ハウィジャで座り込み抗議を行っていたデモ隊のリーダーはAFPに対し、治安部隊が「われわれの座り込みになだれ込んできて、テントを燃やし、無差別に発砲、何十人ものデモ参加者を死傷させた」と語った。

 未明に起きたこの衝突は、イラク各地で報復行為を誘発。多数の死傷者を生み、武装したデモ隊によって兵士1人が誘拐された。

 また、ムハンマド・タミム(Muhammad Tamim)教育相とアブドルカリム・サマライ(Abd al-Karim al-Sammarai)科学技術相はハウィジャ近郊での暴動を受けて辞任。3月上旬に辞任したイザディン・ダウラハ(Izz al-Din al-Dawlah)農相とラフィ・イサウィ(Rafie al-Isawi)財務相に続き、辞任を表明したスンニ派閣僚は計4人となった。(c)AFP/Marwan Ibrahim