【3月29日 AFP】女性が教育を受ける権利を訴え、パキスタンでイスラム武装勢力に頭部を撃たれて重傷を負ったマララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さん(15)が今年、自伝を出版することになった。出版元が28日明らかにした。契約金は300万ドル(約2億8000万円)前後と報じられている。

 自伝のタイトルは『I Am Malala(私はマララ)』。マララさんは「この本が世界中の人の手に渡り、一部の子どもにとって教育を受けることがいかに難しいかを理解してもらえれば」との声明を発表。「自分のことも語りたいけれど、(この本は)教育を受けられない6100万人の子どもの話でもあります。すべての少年少女に学校に通う権利を求める運動の一環になればと思います。これは、子どもたちが持つ基本的な権利です」と自伝に対する思いを語った。

 出版元が公開した自伝の抜粋で、マララさんは銃撃された日のことを次のように回想している。「学校が終わり、友達や先生たちと一緒に、スクールバスとして使われていたトラックの荷台のベンチにぎゅうぎゅう詰めに腰掛けていた。荷台の後ろだけ開放されたトラックに窓はなく、ぶ厚いプラスチックの板が両脇に付いていただけで、板は黄ばんで砂埃にまみれ、何も見えなかった。後ろの隙間からほんの少しだけ見えた空に、たこが揚がっているのが見えた。そのたこは私のお気に入りの色、ピンクだった」

 マララさんは昨年10月9日、スクールバスに乗っているところをイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」に銃撃され、英国に渡り治療を受けた。順調に回復し、今月からは英イングランド中部バーミンガム(Birmingham)の学校に通っている。(c)AFP